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第12話

始業式後、教室での担任の挨拶も無事に終わり今日は解散になる。 ぼくは立ち上がり、とある席に向かった。 早速行動に移すんだ……! 「隼人、帰ろう」 「なずなから俺の席に来るなんて珍しいじゃん。……オッケー!行こうぜ」 鞄の中に筆記用具を入れ終えた隼人は立ち上がり、教室の入り口へと歩き出す。 その後を追う前に、隼人の後ろの席の方を向く。 (たった一言……頑張れ、自分) 小さく深呼吸をしてから、ここにきた目的を果たすべく言葉を発する。 「宮ーー連、くん、バイバイ。……また、明日ね」 胸の前で小さく手を振る。 すぐに返事が返って来ず、静かな空気の中ぼくの心臓だけがやけに煩い。 今の、男のぼくがするのはナシ? 気持ち悪かったかな……なんて少し後悔。 「ああ、また明日。気をつけて帰れよ、なずな」 「ーーっ。う、うんっ!」 連くんがぼくに向かって微笑みかけてくれた。 勇気を出してよかった! そう思いながら鞄をギュッと抱きしめ、入り口で待つ隼人の元へ走って向かった。

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