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第13話
「なずな、おせーよー」
「ごっ、ごめん。ほらっ、行こう?」
入り口でぼくを待つ隼人に、そう声をかける。
「なー、今日もなずなん家寄っていい? ついでにおばさんの美味しい夜ご飯も食って帰りたいなー。それからぁー、……」
先程の蓮くんとのやり取りで胸がいっぱいで、
隣でいつもの様に話す隼人の声が全く耳に入ってこない。
何か香水でもつけてるのかな?
あの距離からでも、蓮くん凄くいい香りがしてた。
……うっ、こんなこと考えてるぼくって、
変態……?
「ーーずな? おいっ、なずなってば?」
「ひゃいっ!」
「なんだよその声ー。ってか、頭振ってどーした? っつーか、俺の話聞いてた?」
隼人に言われ、自分が無意識に頭を振っていたんだと気づく。
……恥ずかしい。
「とりあえず、今からお前ん家行くぞ。ほらっ」
「あっ! 隼人待てって!」
握られた腕を引っ張られながら、ぼくたちは家に向かった。
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