「……ろ。……なぁ、起きろってば〜！」 「うぅーん……うる、さいっ」 ぼくの身体をゆらゆら揺らしてくる邪魔な手をはたき、丸まって頭から布団を被る。 「ふーん。じゃあ俺、先にいっちゃうよ？ 8時だけどいいんだな」 ーーガバッ。 「はぁ！？ それ、先にいってよ。バカッ！」 眠りについた時間がいつもより遅かったからか、遅刻しそうな現時刻に焦り急いで起き上がる。 目の前には、ニヤッと笑いながら制服姿で立つ親友。 「ほーっんと、ありえない！」 「はいはい。なずなにそう言われてるのは慣れてるからいいよーだ。ってか、口ばっかり動かしてないで、さっさと準備しろよー。俺、おばさんの朝ごはん先に食いに行ってるから〜」 そう言って隼人は、俺の部屋から出て行った。 「……ぷっ」 パタパタと階段を降りるあいつの足音を聞いて、思わず笑ってしまう。 (大丈夫、まだ笑える。今日も一日、頑張れるーー) 心の中でそう唱えながら制服に着替え、急いで親友と両親の待つリビングへと向かった。