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第22話
「おはよう。父さん、母さん」
リビングのドアを開けながら、ぼくはいつも通りに挨拶をし、朝食が用意された自席へと向かう。
「おはよう、なずな。昨日は、隼ちゃんと遅くまで起きてたの?」
洗い物をしているのか、キッチンからそう声をかけるのはぼくの母親、若森 百合。
おっとりとした性格で優しく、料理上手なため、こうして隼人もよく遊びに来るんだ。
「ううん。誰かさんが隣でガァーガァーでっかいいびきをかいててさ。そのせいで寝付けなかったんだ」
「うひょだりょっ!!」
「うわっ、ご飯粒飛んできたっ! 隼人汚いっ!」
「あ、わいぃ……じゃなきゅて、ひゃっきのうひょだりょなぁ!?」
「さぁーねぇー?」
「おいっ! なじゅなぁ〜!」
--カサッ。
「ふたりとも、お行儀よく食べなさい」
読み終わった新聞を畳みながら父親、若森 太一に軽く注意をされる。
基本的に無表情で、多くを語らない父だが、仕事や家族に対する愛はしっかりとあり、昔から憧れる存在であった。
「パパの言うとおりよ。ふたりとも、もう8時20分だけど大丈夫なの?」
「「やばっ!」」
のんびりと味噌汁をすする父親の横で、ぼくと隼人は母親の朝食を次から次へと口の中へ掻き込んでいった。
--8時40分。
「おじさん、おばさん、お邪魔しました〜!」
「行ってきます」
始業時間までは残り10分。
家を出る前にもう一度だけ忘れ物がないか確認をし、ふたりは死ぬ気で走りながら学校へと向かった。
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