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第23話 sideR

ブー、ブーッと部屋に響くバイブ音。 「……んんっ」 布団の中でもぞもぞと動き、振動し続ける携帯のアラームを止める。 今日も朝が来てしまった……。そんなことを考えながら寝惚け眼をこすり、洗面台へと向かう。 冷水で顔を洗い目を覚ますと、自分の歯ブラシを手に取り、歯磨きをしながら片手で器用に寝癖を直していく。 ただただ、同じことを繰り返す毎日。 数分して口をゆすぎ終えると、リビングへと戻って行く。 テレビをつければ、女性アナウンサーがどうでもいい芸能情報を次から次へと伝えてくる。 ニュースを見たいわけでもないし、何かしら興味のある話題があるわけでもない。 ただ……静かすぎるこの部屋では、ちょうどいい雑音になる。 テレビに背を向け、今まで着ていた服を全て脱ぎソファに投げると、アイロンがかかっていない少しよれたワイシャツを手に取って、それに着替える。 「今日の占い! 一位に輝いたのは……獅子座のあなた! 失くし物が見つかるかも。ハッピーな1日が過ごせる予感です。続いて二位は」 --ピッ。 「何がハッピーだよ……。占い通りに人生動いてたら、苦労しないっうーの」 テレビの電源を切り、鞄を持って冷蔵庫へ向かい、ペットボトルにそのまま口をつけ水を飲み元に戻す。 廊下を進み、玄関で鍵を取りそのまま出て行く。 朝食を取らなくなったのは、いつからだろう--。 声を出さずに家を出て行くようになったのは、いつからだろう--。 「……はぁ。朝から嫌なこと思い出しちまった」 少しでも気分が戻るように、早足で自分の住むアパートから離れていく。

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