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第25話
「とうちゃーくっ! ……ほらっ、間に合っただろ〜♪」
へへっ! と自慢げに話す隼人の横で、ぼくは息を切らしていた。
「まに……あ……ったけど、つら……っ」
時刻は8時47分。昇降口から教室までは、3分で行こうと思えば行ける距離だ。
「ったく。なずなは運動しなさすぎなんだって! ほら、お前の分の上履きも出してやったから、早く履き替えろよ」
「……今日の隼人、なんかむかつく」
「ひどっ!?」
徐々に冗談を言う元気も出てきて、上履きに履き替えながら、自分の靴を下駄箱の中にしまう。
無意識に視線が蓮くんの下駄箱へと移る。
(……あっ、あった!)
彼のーー蓮くんの靴を見て、教室に行けば会えるのだと思うと、先ほど落ち着いたばかりの心臓が、またドクドクと早く脈を打ち始めた。
「おーい? ぼーっとしてると、置いてくからなー」
「あっ! 待ってよ!」
隼人の声で我に返り、彼の元へと駆け寄る。
今度は二人肩を並べて、教室へと向かった。
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