25 / 51

第25話

「とうちゃーくっ! ……ほらっ、間に合っただろ〜♪」 へへっ! と自慢げに話す隼人の横で、ぼくは息を切らしていた。 「まに……あ……ったけど、つら……っ」 時刻は8時47分。昇降口から教室までは、3分で行こうと思えば行ける距離だ。 「ったく。なずなは運動しなさすぎなんだって! ほら、お前の分の上履きも出してやったから、早く履き替えろよ」 「……今日の隼人、なんかむかつく」 「ひどっ!?」 徐々に冗談を言う元気も出てきて、上履きに履き替えながら、自分の靴を下駄箱の中にしまう。 無意識に視線が蓮くんの下駄箱へと移る。 (……あっ、あった!) 彼のーー蓮くんの靴を見て、教室に行けば会えるのだと思うと、先ほど落ち着いたばかりの心臓が、またドクドクと早く脈を打ち始めた。 「おーい? ぼーっとしてると、置いてくからなー」 「あっ! 待ってよ!」 隼人の声で我に返り、彼の元へと駆け寄る。 今度は二人肩を並べて、教室へと向かった。

ともだちにシェアしよう!