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第26話 sideR
「ねぇー、蓮ー! 今日の放課後、うちらとカラオケいこーよー」
「はぁー? 今日は私たちと、ゲーセンに行くんだし。ねぇ〜、れーんっ♪」
(……うるさい)
俺の周りで、キーキーワーワーと甲高い声が混ざり合う。
チャイムが鳴るまであと数分。ギリギリまでコイツらは俺の周りにいるつもりなんだろう。
別になんでもいいんだから、勝手にしろよ……と思い、俺は机に突っ伏した。
「れーんー? きいてるのー?」
「どっちにするか、決めてよぉ〜」
「眠いのー? ギューって温めてあげよっかー?」
「ギャー! あんたずるい! 私も」
更に騒がしくなり、あらゆる箇所に女達が触れてくる。
それでも俺は、面倒くさくて動かない。
「ふぅ〜。チャイムが鳴るまで残り1分! 俺に感謝しろよー」
「うわっ! それやめろって昔から言ってるだろ! もーっ、早く席に着けよ。先生来ちゃうでしょ!」
俺の耳に鮮明に聞こえてくる会話。気になり顔を上げれば、ぷーっと頬を膨らませ、乱れた髪を手櫛で直しながら自席に向かうなずなが見えた。
太陽の光が当たってるからだろうか? 何故がその姿が、俺にはキラキラと眩しく輝き、可愛く見えたんだ。
その時一瞬だけ目が合い、俺の胸がキュッと締め付けられながらも、ポカポカと温かいと感じた。
周りにいる女がくっ付いてきても、こんな風に温かいなんて感じないにーー。
そんな自分の感情に戸惑っていると、タイミングよくチャイムが鳴る。
女達が何か言葉を発しながら離れていくが、何も耳に入ってこない。
「授業始めるぞー。今日は新学年になり始めの授業だしテストからーー」
教員が話し始めたから、俺は自分の胸に手を当てながら仕方なく前を向いた。
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