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くじ引き
「じゃあ、まずは初日の時間割の確認をするよ。受験組が〜」
同じ班で班長になった山本くんが、先生の指示通りにスケジュール確認をしていく。
ーーが、今のぼくはそれどころじゃない!
先ほど引いたくじの紙を握り、俯向いていた。
(ほ……本当に蓮くんと同じ班になっちゃった……!)
就活組から蓮くんと山本くん。受験組からは、敦くんとぼく。
くじを引き終えた時イヨくんに「ズルいー! 交換して!」ってすごい言われたけど、敦くんが「これも運だろ」ってなだめてくれて。
ぼく自身、いつも一緒にいる隼人と久々に分かれたから、上手くやっていけるか少し不安な気持ちもあるけど……蓮くんと一緒なら、勇気を出せる気もするんだ。
ーーカツ、カツッ。
「具合わるい? 大丈夫か?」
向かいに座っていた蓮くんがぼくの机を人差し指で叩き、顔を覗き込んできてくれた。
「ーーっ!! う、うん。大丈夫……ありがとう」
ぼーっとしててごめんね。と班のみんなにも謝る。
(どうしよう……ぼく、今変な顔してないかな)
山本くんには悪いけど、後半のスケジュール確認はぼくの耳に、ほとんど聞こえていなかった。
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