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第33話 sideR
「ーークシュッ」
車内が冷えているのか少し肌寒いと感じ、体の前で組んでいた腕をさらに絡め、縮こまるような体制になる。
(これで少しはマシになるだろ)
そんなことを思いながら深い眠りにつこうとした時、布が擦れる音と共に、俺の体が何かに包まれる。
少しだけ目を開き周りの様子を見ると、俺の体に誰かのブレザーがかけられていた。
(温かい。それに……)
女の香水とは違う、甘い香りがする。ほのかに香るその匂いがとても心地よくて、瞼がさらに重たくなってくる。
気づけば俺は、深い眠りについていた。
ーー何かに触れられてる気がする。
心地良いが……髪が自分の頬を掠め、くすぐったいと感じ目が覚めた。
「あっ。ご、ごめんなさいっ!」
その瞬間、なずながバッっと勢いよく手を引っ込め、気まずそうに視線を逸らす。
「俺も、肩にもたれかかってて悪い」
そう言いながら、席に座り直す。
なずなの手が触れていた箇所が、なずなの肩に触れていた箇所が、今は冷たいと感じる。
(もう少し、距離を縮めたい……)
「その本、面白い?」
気づけば俺は、思ったことを自然と口にしていた。
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