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第40話 sideR

ーーガチャン! 「……はぁ」 外の空気を吸ってくると言い出てきたはいいが、どこに向かえばいいのか分からない。 半乾きの髪をクシャクシャっと掻きながら、ふらふらと歩きはじめる。 昔から仲の良い友達って訳じゃない。何か嫌なことををされた訳ではない。それなのに……あいつの行動ひとつひとつで、落ち込んだり喜んでしまう自分がいる。 多分俺は、誰かに必要とされたいんだ。そして、なずななら俺を必要としてくれると、勝手に思い込んでいたんだろう。 でも今日、イヨや隼人の元に向かうあいつの背中を見て思った。 (あぁ、こいつも俺を必要としてくれない。いてもいなくても同じなんだ……)って。 「ふっ……」 勝手に期待して、勝手に裏切られたと思う自分が馬鹿らしくて、思わず鼻で笑ってしまう。 「あっ、蓮だぁ〜! ひとりでこっち来てみて良かった〜」 ばったり会った同じクラスの女は、俺の腕にすり寄るとペラペラと話し始める。 「ねぇねぇ、今から少しだけ……向こうに行かない?」 「あぁ……」 女が何を思いこう言ってるのかわかった。 でも今の俺はどうでも良かったんだ。 適当に答えた俺の返事を聞くと女は喜び、俺の腕を引きながら外へと歩き出した。

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