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第41話 sideR

「はいっ、ここ座って〜♪」 肩を押され、ベンチに座る。すると女は俺と向かい合うように、膝の上へ跨ってきた。 「勉強のために泊まりとかありえないっ!って思ってたけど、こうして夜まで蓮といられるなら悪くないね〜」 甲高い、甘えるような声で話しかけられて気分が悪くなる。 (ひとりになりたくて、部屋を出てきたはずなのに……なんでこいつといるんだ?) でももう、なんでもいい。 考えることも面倒になり、目を瞑って1人の世界に入り込む。 目の前にいる女に顔や髪、腰を触られるが黙っていた。 「ねーえー。構ってくれなきゃ、チューしちゃうよ?」 「……別に。勝手にすれば」 この流れ、多分キスだけじゃ終わらないだろう。 まぁ、減るもんじゃないから、別に俺はそれでも構わない。 むしろ、余計なこと考えないで済むなら、そうしてた方がいいだろうし。 女が俺の首に腕を巻きつけると、唇が触れる。 口内に入ってきた舌に自分の舌を絡めると、水音が聞こえてくる。 「ふっ……んんっ……」 女から発せられる声が耳障りだと感じ、その音をかき消すように更に舌を絡める。 冷静な気持ちとは反対に、身体だけがこの行為に反応しだす。しかし…… ーーガサッ。 真後ろから聞こえた音の方に振り返ると、そこにはあいつが立っていた。 眉間に皺をよせ、瞳をうるわせながらこちらを見ているなずな。 「えーっと……明日の予定確認するから、蓮くんを呼びに来たんだけど…………ごめんなさいっ!」 俺に背を向け走り出し、だんだんと小さくなっていくあいつの姿を見て、俺の体が一気に冷えていった。 「……萎えた」 「えっ?」 俺に跨っている女を押しのけ、ベンチから立ち上がる。 ギャーギャー叫ぶ声を聞こえないふりをして、頭を冷やしながら俺は部屋に戻った。

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