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第38話

いたずらを楽しんでいるような屈託のない瞳が、俺を優しく射る。 なんとなくだけれど…雅さんの優しさは底なし沼のようで、ときどき怖くなる。 そう口にしたら、雅さんはなんて顔をするのだろう。 勇気のない俺は、ただその胸に顔を預ける。 力の抜けた俺の頭を撫でながら、雅さんはふふと笑う。 「さて…これで大丈夫じゃ。 いつあの人が来ても、抜かりないわい」 それが俺の言葉を待っているものかは分かりかねたので、俺は瞳を閉じる。 ただ、雅さんが確かに覚悟を決めたのは言葉の端から感じ取ることが出来た。

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