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第13話

「俺、生まれてからしばらくは、体が弱くて。家族にいつも心配と迷惑をかけてきました。 それに、顔がこんなんで肌も白いでしょう。だから、男子にも女子にもからかわれ続けてきました。 生きてきて、ずっとずっと…息が苦しくてたまりませんでした」 人が当たり前に持てる、健康な体。男らしい見た目。 他人から見れば大したことのないものを、俺はずっと求めてきた。心ではこんなにも望んでも、自分の体は言うことを聞いてくれない。鏡の中の姿は変わらない。 俺の話を、雅さんは黙って聞いている。それは、耳を傾けていると分かる穏やかな沈黙だった。 それが、喉の奥を熱くさせた。 「けれど、今年の春になって嘘みたいにそれまでの毎日が変わりました。 急に背が伸びて、体も丈夫になってきて…周りの反応が一気に翻りました。あっちにはそうでもなかったかもしれない。 家族は、ほっとした顔をして喜んでくれました。同級生は、俺に興味を抱いてきました。 俺には…それが、幸せとはほど遠く、苦痛に感じてしまうんです」

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