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第20話

騒がしい声がして、眠りの淵から目が覚めた。 「んん…」 温もった布団の心地良さに、しばらく意識がゆらゆらと揺れている。 段々、耳に入る声を声とはっきり認識しだした頃、俺はゆっくりと瞳を開けた。 「おい雅!飯の量が少ねえよ!!俺をなんだと思ってやがる!」 「…雅さん、じゃない…?」 乱暴な言葉遣いと、それでもよく通る綺麗な声。誰か来たのだろうか…。 「ていうか、俺……もしかして、泣き疲れて寝た…?」 自分で言って、火に炙られたように顔がじわじわと熱くなる。 記憶が朧げだが、雅さんに頭を撫でられた感触は覚えている。もしそうだとしたら、かなり恥ずかしい…。 「いっそ穴があったら入りたい…」 布団を頭まで被って、いたたまれない気持ちと葛藤する。 だが、それを制止させる声がまたもや耳に入った。 「お前、あの童に上手い事言って手篭めにする気だろ。そんなの、俺は反対だぜ」

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