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第21話
何やら、物騒な単語が耳に入ってきた。
もしかしなくても、自分のことを話されているのが分かるけれど…すごく出て行きづらい。
かと言って、このまま話を聞くのもどうにもならない。
「どうしたら…」
迷ったまま、布団に顔を埋めているとやれやれという雅さんの声が聞こえた。
「全く。銀瑶、お主は永く生きておるのに、何故そうも五月蝿いのじゃ。音羽とは大違いじゃ」
「てめえ、そんなこと言ってまた煙に巻くつもりだろ!爺!」
「あぁ〜もう。狐は大人しく油揚でも喰っておればよかろうに。後、お主の方が旧い じゃろうて」
うんざりしている顔が簡単に想像つく。
つい気になって、布団から畳の上をそろそろと這って、障子に手を掛ける。
静かに、障子の隙間から廊下の向こうを見遣る。
たぶん、台所の方にいるのだろう。雅さんと一緒にいる人が一体どんな人なのか気になる…。
出ていくタイミングを伺っていると、りりんっと鈴のなる音が玄関の方から響いてきた。
「?」
途端に、周囲の空気が変わったのを肌で感じた。
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