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第23話
俺が二重の意味で固まっていると、双子はちらちらとお互いの目を見て更に続けた。
「それに、いい匂い」
「そう。獣臭くない」
「素敵よね」
「素敵な番」
「やっ、やめっ…番とかやめてくれ…!!」
初対面だけど確実に分かる。こんな話題を、この子達にこれ以上喋らせてはいけない…!!
「おや、音羽。起きておったのじゃな」
「みっ!?雅さん…!」
「?どうかしたかえ?」
凄い変な声が出てしまった…。
平静を装うけれど、雅さんは不思議そうに首を傾げてこちらへと近付いてくる。俺、いまどんな顔してるんだ…。
「珍しいものでも見たような顔をしておるな。…おや、そういうことじゃったか」
俺の隣に立つと、双子を見て納得した様子で軽く頷いた。僅かにその口元が笑みで緩む。
「三十鈴 。六十鈴 。音羽に意地悪を言ったら駄目じゃろう?」
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