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第27話

閉めた障子の向こう、庭の方から鶯の囀りが聞こえてきた。 つい和んだ気持ちになりそうだったけれど、 銀瑶さんの瞳は逃がさないとばかりに俺を見つめたままだ。 …代償だなんて、考えたこともなかった。 「これ、音羽を困らせるでない」 「おめぇは黙ってろ、雅。これは本人に考えさせなきゃいけねえことだ」 「人様の家のことなのに、よく口を出すのう。お主も」 少しばかり不服そうに肩を竦めた雅さんを、見上げる。 丸め込むだなんて、そんなことをして雅さんには何の得があるというのだろう。 …俺を傍に置いておきたい、なんてそんなの冗談でしか有り得ないだろうに。 「次の満月までに帰らねえと、お前は2度と普通の人間ではいられなくなるぞ」 「えっ」 「だから言ってるだろーが!」

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