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第13話 仙道さんのおつかい 1
なんだか面白くない。
このところ、俺の住む独身寮の先輩 服部さんが、やたらと仙道さんを連れて行く。何故俺を通り越して2人で結託するんだ?
直属の上司は俺。仙道さんは 俺 の 部下!
勝手に指示出すな!!俺のなんだってばー!!!
チャーリーブラウンの友達、ライナスがどうしても手から離せないお気に入りの毛布は、他人から見たらボロだ。…なんて羨ましい。宝物は、その良さを知られすぎては敵を増やす基になる。
俺の人生初の部下、仙道さんは、誰の目から見ても魅力的過ぎて困る。凛とした佇まい。芸能人に居てもおかしくない華のある目鼻立ち。なのに、トゲトゲしていなくて、その育ちの良さが垣間見える。頭も良い。道案内も、通訳も、ちょっとした交渉事も、お手の物だ。
そんな分かり易くキラキラした人を公衆の面前に晒したら、どれだけの人を惹きつけて来るのか計り知れない。パーティションの上から隣の席を見遣るが、仙道さんの姿は無い。
「午後のプレゼンの打ち合わせ、できないじゃんか…」
頼み事を断っているところを見たことがない。いつでも聡明で、優し過ぎる仙道さん。もうこれ以上、顔を広めるのはやめにしてくれぇ!
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