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第9話 X-day4.服部さんの男気
寮の後輩船山は、かなりご機嫌で昨夜の話を続けている。
だが、聞いてるこちらの身にもなれ!ツッコミどころが満載じゃないか!気付かないのか!?
なにも塗ってやらないなんて、お前案外サディストなんだな。
ちゃんと脂分くらい補ってやれよ。
大体なんだよそのアピールポイントは!上辺しか目を向けないなんて。いつか酷いヤツに騙されるぞ!
勿体無い。こいつは本物を知らないのだ。
かわいい後輩の視野を広げるのは誰の役目だ?
…俺、か?
中途半端な知識に凝り固まる前に、何とかしなくては。
「船山、俺と付き合え。」
鳩が豆鉄砲を食ったような顔して船山が立ち止まった。
「俺と、とびきり美味い朝食を食べないか?もちろん、無理になんて言わないよ。」
早朝に出るのが面倒なら、泊まったっていいぞ。
急な誘いに、船山は壁にもたれて考え込んでいる。
終業時刻を過ぎ、エレベーターホールに人が増えた。
ごにょごにょ言ってる船山の声が聞き取れなくて、一歩近づいた。
「早朝出発で構いません!連れて行ってください♪」
やはりこいつは美味しい話にすぐ釣られる(笑)
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