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第9話 X-day5.大団円

カラリン♪と明るい音を立ててドアを開く。 「土井、来てる?」 え?!服部さん? 「仙道さん?お疲れ様です、どうしたんですかこんなところで!」 「船山さん!?えっっ??」 …都会の闇に消えたんじゃないんですか? 「ちょうどよかった!土井さん、仙道さん、フレンチトースト 好きですか?」 フレンチトースト…?  それは今日の土井さんに聞かせちゃいけない名詞なんだけど。 「フレンチトースト…だ…と?」 ほらね? 。。。 服部「土曜日空いてる?船山ったらフレンチトーストの真髄がわかってないから、あのホテルのモーニングに連れて行こうと思うんだ。 土井ちゃん好きでしょ、行かない? 仙道さんも良かったらどう?」 土井「お!久しぶりに食べたいなぁ!!ちゃんと美味いやつ!!! 12時間卵液に浸した極厚の! 年季の入った重厚な銅板で、澄ましバターでカリッと、中はトロリと! そんな奇跡の焼き加減に仕上げるのは家庭では無理でしょ!? 今日、コンビニで見た目に釣られて買ったフレンチトーストがさ、この世の物と思えないレベルで最悪だったんですよ… 表面しか卵液が無いの。粉糖とメープルシロップで誤魔化しやがってさ!中身真っ白!食パンのまんま!! 休憩でテンション上げたかったのに役に立たなくって、午後のプレゼン惨敗。 今、仙道さんに愚痴聞いてもらってたとこなんです。 ね?仙道さん。」 仙道「愚痴だなんて!そりゃあ腹立ちますよ、食べたい物って、思ってたのと違うといつまでも食べたい欲が治らないじゃないですか。 胃袋にそのスペースがぽっかり残っちゃいますよね!」 船山「土井さんらしくないなぁ、コンビニ風情が、芯までしっとり染みたフレンチトーストなんか出す訳ないって!期待値高過ぎなんじゃないんですかぁ? あれは、じっくり漬けて焼いたら賞味期限切れの食パンだって大変身!のミラクル料理じゃないですか!自分で焼いて、アツアツを食べるのが醍醐味で…」 服部「そこまでわかってる船山が、何故油ひかずに焼いちゃうんだよ!」 土井「え?油無しぃ??鬼畜!!」 服部「ほらみろ、みんなそう思うだろ!!」 船山「だって!せっかく買ったんですよ、ノンオイルでもこびりつかないダイヤモンド?プラチナ?なんたらコートのフライパン〜!!」 土井「するする滑る〜ぅ、の、あれ?」 船山「そうです。アレ。フライ返しで返そうにもスルスル逃げまくるのw」 土井「通販チャンネルの?」 船山「んー、それに近いものです。通チャンのは20分で限定1000個完売して、ホンモノは買えなかったんですよー」 仙道「それって、先週放送の 「エターナルプラチナナノダイヤコーティングマーブルストーンデラックスフライパンセット」の事ですか?」 服部「…仙道さん!?プロレス技?」 仙道「いや、「エターナルプラチナナノダイヤコーティングマーブルストーンデラックスフライパンセット」です。 僕、先週買いました。」 船・服・土「ええええええええええ!?」 このまま話に花が咲きまくった僕らは深夜まで飲み続け、土曜の優雅な朝食プランは実現されなかった。 <フレンチトーストとフライパン編おしまい>

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