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第2話

高坂は店の外に引きずられるようにして出ると、首筋が冷えるような風の冷たさに身を竦める。 腕を引いた男は外に出るなり彼の腕を離して、タバコを取り出すとその底を指で弾いて飛び出た1本を咥える。 「公務執行妨害ですよ」 声を潜めて低く囁くと、東郷は喉の奥でくっと笑い面白がるように彼を見返した。 「できるだけ優しく腕を引いたつもりだったが。暴行の類になるのか」 静かに問いかけながら、カチカチとライターを押して火をつける。 「つけられているとは分からなかった俺にも落ち度はあるんだが、ここら辺は危険な場所だからね」 まるで子供でも諭すように告げられ、馬鹿にされているのかと高坂は顔を赤くして東郷を睨みあげた。 「取引きでもするのだろう」 「悪いが、俺が出向くようなデカイ話はここのところないな。三課に入ったばかりだろうが、出世の役にたてるような話はもってないよ」 余裕ありげに話しながら、手前の道を走るタクシーを手を挙げて停める。 「帰りなさい、と言っても言う事は聞かない、かな」 伺うような表情を浮かべて、携帯灰皿のケースの中に吸いさしのタバコを押し込むと、開いた助手席に乗り込み、 「俺はもう家に帰るだけだが、着いてくるなら後部座席に乗ればいい」 高坂は思わぬ展開に目を見開く。桜星会のNo.2である彼の住まいなど誰も突き止めてはいない。 ある意味これはまたとないチャンスである。 しかし、罠の可能性の方が高い。 とはいえ、ここで見失うわけにもいかない。 高坂は意を決して後部座席のドアを開いて乗り込む。 何も得られないよりは、手がかりのひとつでも手に入れたい。 乗り込んだ高坂をちらとバックミラーでのぞいた東郷は、へえと口元だけを動かして興味深そうな表情を浮かべて笑う。 「なかなか度胸が座っているのか、何も考えてないのか。どちらなんだろうな」 静かに場所を運転手に告げて東郷は目を伏せた。

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