5 / 11

第5話

仕掛けられたクチヅケに高坂は目を見開き硬直する。唇を堪能するかのごとく吸いつかれ、舌先で辿る動きは卓越していて、神経の先が痺れて思わず流されかけて慌てて腕を爪で引っ掻き振り払って体を引く。 「な、なにをする」 思わず睨み据える高坂にからかうような視線を返して、 「見ず知らずの刑事さんを家にあげるだなんて、こんな下心くらいないと、ありえないだろ。もう、取り引きをするような時間でもなくなったわけだし、タクシー代を出すから帰るといい」 東郷は腕に残る引っ掻き傷を眺めて、肩をそびやかせる。 「それが、アンタの脅し方か」 ここで帰るべきだと高坂の頭の中も警鐘を鳴らしていたが、引き下がってはなるものかと犬歯を剥き出しにして食ってかかる。 「脅し、ではないかな。俺も、それほど気が長いタイプではないのでね」 頭半分低い高坂を見下ろし、首に手をかけると口角を引き上げる。 「.....漸く本性を出したってわけか」 殺されるという恐怖にか、心臓の鼓動の間隔が狭まっていく。死体の処理方法など彼らには造作のないことだろう。 最後に先輩に東郷のやさを突き止めたとメールをしたが、そこから突き止めてくれればいいが。 我ながら下手を打ったと奥歯を噛み締める。 「.....そんな顔をするな。殺しはしない、これに懲りりたら無茶はしないことだ」 予想に反して東郷は腕を引いて、財布から無造作に万券を2枚取り出して高坂の胸に押し付ける。 「ッ、かハッ.....ヤクザの金など受け取れるか」 体を捩って拒否すると、再びグッと首を掴まれ壁にドンッとは押し付けられる。 「少しはトラウマになるような目に合わせないとひかねえかな」 手足をばたつかせるが、息苦しさに力が抜けて高坂は目の前の男が、静かな目で獲物を捉えるかのように見返す表情に体をこわばらせた。 「こっちもあまり無い休暇を潰されたわけだしな。褒美くらいもらっても罰はあたらないだろう」 カチカチと高坂のベルトのバックルを外して引き抜くと、東郷はスラックスを下着ごと引き下ろした。

ともだちにシェアしよう!