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第8話

周りの騒がしさと異様な雰囲気に彼は日曜日だというのに早くに目を覚ました。 日曜だと働いている母親の都合で、遅めの朝ご飯になるのが普通だが母親はもう起きているようだ。 まだ、小学1年ではあったが父親は殆ど家におらず、母親だけの生活なので、かなり世の中のことは分かっていた。 「知りません。アイツはあまり帰ってはこないので」 気の強い母親の声音が、少しだけ掠れているのが分かり、何かがあったのだと気がつく。 部屋を出ると、どこかに行っていろという母親の視線とリビングには背広を着たくたびれた様子の男が2人彼女を取り囲んでいる。 彼女が化粧もせずに、感情的になっていることは珍しく直ぐにシャツを着替えてアパートの外に出た。 外は今にも雨が降りそうな曇り空で、遊ぶ約束もしていないのでどこにいこうかと、ぐるぐるとアパートの周りをめぐる。 「お母さんは?たすく」 知らない男が馴れ馴れしく名前を呼んで、彼の肩を掴んだ。 体格のいい男で、前に何回か父親が連れてきたなあとは思ったが、よく覚えていなかった。 「警察のひと、きてる。」 「そうか…………実は、お前のお父さんのことはなんだが」 静かな声で伝えた男の顔はよく覚えてはいなかった。 その横で静かに佇んで見守っていた、その顔は誰だったのだろうか。

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