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第10話

「高坂、まだ収穫ねえのか」 尾行から戻りデスクにつくと、上司は散々催促をする。 東郷の靴の裏にはGPSを仕込んだので、尾行は楽になったが、彼ほどの男がこちらの仕込みに気が付かないはずはない。わざとらしく泳いでくれているのだろう。 それに、東郷は全く尻尾は出さないしあれ以来ゲイバーにも通っていない。 幹部クラスの男が顔を出さなくてはいけない取引自体がないのだろう。 東郷の経営している会社は、資金だけが桜星会に渡っているだけのクリーンな会社ばかりで、引っ張る理由が表向きには見えない。 気になることも、言っていた。 親父を殺した犯人を、東郷自身も追っていると。 「高坂!?聞いているのか」 「あ、まあ。聞いてはいるんですけどね。東郷を張っても意味ないですよ。その下で動いている寒河江を押さえた方がいい」 「俺に意見するとかいい度胸だな」 本当の目的にたどり着くためには、何をすればいいのかなんて、わかりすぎるほどわかる。 それをするためには、力がほしい。 どうしたらいいかなんて、答えはひとつだ。 高坂は一つの決意をして、上司の顔を見返した。

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