83 / 87

傑作が出来た!②

***  執筆が煮詰まってしまい、気分を変えたいなと思って夕方、コンビニ行った。 「明日は郁也さんが休みだし、久しぶりにふたりでビールでも呑んで、わいわい騒ぐのもいいかもな」  それでも呑める方じゃないから、500mlを2本とおつまみを数点買って、ルン♪((o'д'))ルン♪気分で自宅に向かっていると、目の前に見覚えのあるシルエット。 「あ、郁也さんだ!」  足早に歩く彼の背中に向かって、一気にダッシュ。 「郁也さんっ、お帰りなさい!!」  後ろから声をかけたら、体をビクつかせて驚いた顔しながら、こっちを見てくれた。 「涼一……ただいま。こんな時間に、外に出てるの珍しいな。買い物か?」 「うん。小説が煮詰まってってね、気分転換に外に出たついでに、コンビニで買い物してたんだ。今夜一緒に呑もうと思って」 「そうか。じゃあ晩飯、何にしようかな」  顎に手を当てながら考える、郁也さんを見上げた。  そういえばこうやって並んで歩くのは、久しぶりかもしれない。 「何だか郁也さん、嬉しそう。いいことでもあったの?」  覗きこんで聞いてみたら、うっと声を詰まらせて、視線を逸らした。  むぅ、聞いちゃいけないことだったのかな? 「そ、それはだな、家に帰ってからのお楽しみ。さてさて、何を作ってお祝いしようか」  お祝い――?  首を傾げた僕の腕を強引に引っ張られ、急ぐように家路に着いた。

ともだちにシェアしよう!