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傑作が出来た!②
***
執筆が煮詰まってしまい、気分を変えたいなと思って夕方、コンビニ行った。
「明日は郁也さんが休みだし、久しぶりにふたりでビールでも呑んで、わいわい騒ぐのもいいかもな」
それでも呑める方じゃないから、500mlを2本とおつまみを数点買って、ルン♪((o'д'))ルン♪気分で自宅に向かっていると、目の前に見覚えのあるシルエット。
「あ、郁也さんだ!」
足早に歩く彼の背中に向かって、一気にダッシュ。
「郁也さんっ、お帰りなさい!!」
後ろから声をかけたら、体をビクつかせて驚いた顔しながら、こっちを見てくれた。
「涼一……ただいま。こんな時間に、外に出てるの珍しいな。買い物か?」
「うん。小説が煮詰まってってね、気分転換に外に出たついでに、コンビニで買い物してたんだ。今夜一緒に呑もうと思って」
「そうか。じゃあ晩飯、何にしようかな」
顎に手を当てながら考える、郁也さんを見上げた。
そういえばこうやって並んで歩くのは、久しぶりかもしれない。
「何だか郁也さん、嬉しそう。いいことでもあったの?」
覗きこんで聞いてみたら、うっと声を詰まらせて、視線を逸らした。
むぅ、聞いちゃいけないことだったのかな?
「そ、それはだな、家に帰ってからのお楽しみ。さてさて、何を作ってお祝いしようか」
お祝い――?
首を傾げた僕の腕を強引に引っ張られ、急ぐように家路に着いた。
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