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こいのぼり

「……う~ん」  風がとても強くて目を細めながら、どこかに向かって、ひたすら俺は歩いていた。  見晴らしのいい崖の上に辿り着き、はーっと深呼吸をひとつ。 「はい!?」  そのとき、崖の下にある小高い丘に目が留まる。 「どうしてこいのぼりと一緒に、オッサンが風にたなびいているんだ?」  まるで、ふき流しのごとく一生懸命になって、こいのぼりと一緒に並んでいる姿は、異様そのものだ。  しかも傍に人がいて、声をかけている。何を言ってるのか分からないのが、辛いところだな。 「うーん、イメージは『風の上のぽに○』って感じかも」  そこで俺は目を覚ました。隣に涼一がくっついているのだが、何故か片脚が俺の腹に乗っかっていて、ちょっとだけ苦しい。 「もしかして、この足のせいで変な夢を見たのか。忘れない内に、記録に残しておかなければ!」  いそいそと涼一の足を除け、リビングの電気をつけて、スケッチブックに先程見た夢を、一心不乱に描き示す。 「おっ! そういえば今日は5月5日じゃないか。俺ってば、無意識にそれを察知してしまうとか、天才じゃね」  そして傑作は完成した。傍にいた人のセリフは、自分で考えたのだが、どうだろうか?  おしまい

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