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ジバ○ャンもといチバニャン

「季節はもう10月下旬。年末まであと2ヶ月足らずか、早ぇなぁ」  企画的には、来年の新年号の事を進行しているが、現在は10月。自身が携わり、発行している小説雑誌【ジュエリーノベル10月号】を、パラパラと捲ってみた。  掲載している小説の内容も、季節を示すように、ハロウィンネタで溢れかえっている。当然、涼一の書いた恋愛小説にも同じように、ハロウィンネタが組み込まれているワケで。 「……仕事が忙しくて一緒にこういうイベント、過ごす機会がないんだよなぁ。もしかしてこの内容に、涼一の願望が隠されていたりして?」  この雑誌が掲載される3ヶ月前に、内容をチェックしていたものの、真夏にハロウィンネタを読んでも、イベントの雰囲気を楽しむ余裕なんて、まったくなかった。 「恋人(♀)がカレシのために魔女の仮装して、ドッキリ大作戦。色っぽいその格好に彼の心を鷲掴み。う~ん、涼一の仮装姿か――」  女顔で体も華奢な作りをしているから、どんな格好でも似合うと、容易に想像出来るが。 「ん? 妖怪ルック?」  涼一の書いた、小説の扉絵の反対側のページに、冬に行われる映画の広告があって、それが【妖怪ルック】だった。 『クリスマス公開だから、見なきゃ後悔するズラ』なぁんて大きく書いてあり、子どもに絶大な人気のあるキャラクター、チバニャンが他の妖怪を押しのけて、でっかく自身をアピールしていた。 「チバニャンの着ぐるみなんて、意外と似合うかもな」  前回イケメンの着ぐるみ姿を描いたからこそ、涼一に似合いそうなモノを、ちゃっかり探していたのだ。  いつものようにスケッチブックを取り出し、仕事中だけど描きたい衝動を抑えられないから、コッソリとその姿を描いて、さっさと色を塗り、短時間で終わらせてやった。 「いろんな意味でャバィ・・(-ω-;)可愛いじゃないか、涼一」  突然プレゼントしたら喜ぶかなぁと、ちゃっかりネットで着ぐるみを検索。それを見事探し当てて、ワクワクしながら注文してやったのに。 『何考えてるの、郁也さん。そんな妖怪の格好したくない。僕よりも似合いそうな、郁也さんが着てよ』  すっごく嫌そうな顔をしながら言い放ち、部屋に閉じこもってしまった涼一。仕方なく自分でいそいそと着込み、コンコンと扉をノックしてから、思いきって中に入ってやった途端に。 『。゚(゚^∀^゚)゚。 やっぱり!! 想像通り郁也さんの方が、僕よりも似合ってる! イケメンだからこその可愛らしさが、そこにある!!』  机を叩きつつ、お腹を抱えて大笑いしてくれた。俺的には面白くないが、大好きな涼一が笑ってくれたので、まぁいいかと苦笑いしながら、その身体を抱きしめてやったのだった。  ……つぅかこの格好で襲うのって、妖怪に襲われているようにしか見えなくもない?  めでたし めでたし

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