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新婚さんごっこ(郁也目線)
昨夜は早めに就寝したため、今朝はやけに目覚めがいい(・∀・)
『明日の朝を楽しみにしててね、郁也さんっ』
なぁんて涼一が言ってくれた、お陰でもある。
「アイツ、昨日は遅くまで執筆するって言って、寝るのが遅かっただろうな。起こさないで、朝飯をテーブルの上に置いて――」
そのテーブルの上に、何かを包んでいるブツが、どてっと置いてあった。
「……弁当にしては丸っこいが、おにぎりにしては、かなりデカい気が……」
まさかと思いキッチンに行って見ると、明らかに使いましたという形跡がある。
使った本人は、きちんと片付けたつもりだろうが、飛び散った油汚れや、洗い切れていない食器などなど、山のようにあったから。
「涼一……疲れた体を引きずりながら、何かを作ってくれたのか?」
もう一度テーブルに移動し、ワケの分からないブツを持ち上げてみると、隠されていたメモ帳を発見!
こんなところにあるなんて!([+]Д・)
「なになに、郁也さんへ。いつもお仕事お疲れ様です。新婚さんごっこの真似事で、お昼のお弁当を作ってみたよ。おかずを全部隠すのに、お米を2合使うとは思わなかった(汗) 頑張って食べてね。
PS:愛情たっぷり入ってます 涼一」
途中から、ふつふつと何かが湧き上がってきて、涙が出そうになった。困惑を含めてだが――
涙を拭い、鼻をすすりながらキッチンの掃除をして、朝ご飯をつくり、テーブルの上に用意しておく。
自分の朝飯は、あえて抜くことに決めた。涼一の作ってくれたおにぎり弁当を、美味しく戴くために。
「ヤバイ……既にドキドキして、仕事にならないかもしれない……」
スキップスキップらんらんらん♪の足取りで、出版社までの道のりを歩いて行った郁也。
さてさて、ランチタイムはどうなったのでしょうか?
職場編に続く←引っ張りますな(・∀・)
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