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魔王の城-3-※

「使者よ。身代金は用意できたか?」 「はい」  白銀の魔術師は下を向いたまま両手で重厚な作りの箱を差し出した。 「そうか」  魔王は勇者へ囁く。 「だが、このままでは引渡しは失敗に終わるな」 「な、にを…」 「だってそうだろう? 話し合いとは相手の顔を見てするものだ。使者が顔を上げないのでは話し合いならない。使者にはこのまま帰ってもらうしかないな」 「そん、な……」  勇者への囁きだったが、静まり返った広間では使者たちへもその声は届いていた。  勇者の醜態を見ない限り解放はしない。そのふざけた要求に白銀の魔術師はほんの一瞬顔を顰め、黒曜の騎士は怒りを露にギリギリと歯噛みをする。 「あれはお前の部下だ。魔王の云いには従わないが、お前の命令なら聞くのだろうな」  声のトーンを落とし、使者には聞こえないように囁く。 「選ばせてやる。生き恥を晒して自国へ帰るか、このままここで俺の肉奴隷として生きるか、好きな方を選べ」  絶望から目の前が暗くなった。  幾度と無く貫かれ、快楽と悔しさから散々泣き、枯れ果てたはずの涙が溢れてきた。  必死に保っていたものが揺らぐ。  何をされようと、どんなに責められようと決して心だけは手放さない。屈服しないと魔王の云いには従わずきたというのに……。  捕虜となってからの半年間、自分から何かを請うまねはしなかった。  魔王の要求は全て逆らった。  そうする事で勇者としての。男としてのプライドを守る事で自分を支えてきた。  だが、友の……。イグルとログの姿を見た事によってギリギリのところで保っていた心が崩れる。  ――もう、これ以上は無理だ。  ――助けてくれ。  ――イグル!  ――ログ!  きつく目を瞑り心の中で何度も助けを請うが、自分が命じない限り事態が動く事は無い。  目を開き部下たちを見る。  二人が自分のこの姿を見たらどう思うだろうか?  軽蔑するだろうか? 哀れむだろうか?  二人の目に侮蔑の色が見えたら自分は耐えられるだろうか?  答えのない問いを繰り返していると、痺れを切らした魔王に乳首を摘み挙げられ催促される。 「沈黙は残留希望とみなすぞ」 「や、違っ…!」 「なら早くしろ」  浅く速い呼吸を何度か繰り返し、口を開くが言葉が出てこない。 「待つのは五秒だけだ」 「待って!」 「五……」  絶望へのカウントダウンが始まり勇者は必死に声を絞り出す。 「あっ!」  だが、言葉にならない声に対してカウントダウンは止まらず、勇者は半狂乱気味に叫ぶ。 「わぁぁっ!!」 「三……」 「いっ!」 「二……」 「いっ…イグル!」  やっとの思いで友の名前を呼んだ。秒読みが止まった事で荒れた呼吸を整え、再度友の名前を呼んだ。 「イグル…ログ。ふ、たりとも、顔を上げてくれ」  震える声でなんとかそう言うと、二人は如何すべきかを確認するように隣にいる仲間へ顔を向け、視線を交わし合うだけで顔を上げなかった。  中々顔を上げようとはしない二人に再び言葉を向ける。 「た…頼むから、顔を上げて魔王と捕虜引渡しの話をしてくれ」  勇者の懇願に意を決した二人は頷き合うとゆっくりと顔を上げた。  二人と目が合った瞬間、屈辱と羞恥で頭が沸騰し叫びだしたい衝動に駆られるが、なけなしの理性でそれを堪える。 「これで話し合いが出来そうだな」  満足そうにそういうと、眼帯の魔物へ指示し身代金の確認をさせた。 「間違いなく本物です」 「そうか。残念だな。もう少しお前で遊びたかったんだがな」  魔王の言葉に恥辱に塗れた日々からの開放を予期し胸を撫で下ろす。  幕が開かれてから動きを止めていた雄芯がずるりと引き抜かれていき、身体が微かに震えた。声が漏れそうになるがこれで終わりなのだから堪えろと言い聞かせ、歯を食いしばり耐える。  先端部分が入り口付近まで来た時。やっと終わる――とほっと息をついた。  次の瞬間、熟れた内壁を押し開き一気に最奥まで突き上げられた。  気を抜いた一瞬の強襲に声を我慢する事は出来ず、淫靡な悲鳴を上げた。  身体を痙攣させながら考える。  ――なぜ?  ――終わったのではないのか?  その疑問に答えるように魔王は耳朶を甘く噛みながら囁く。 「こんな辺境の地にわざわざ足を運んだ部下に褒美をくれてやれ」  ――何を? 「誰にも見せた事の無いイイ顔を見せてやれ」  強靭な腰を遣って抜き差しをされ、甘く情けない喘ぎを漏らす。  感じたくないのに感じてしまう。  ――これ以上醜態を晒したくない!  ――助けてくれ!!  無意識に友へ助けを請うような目を向けていた。  それに応えるように魔術師と騎士は立ち上がった。  全身から殺気を放ち、獣のような獰猛な目で魔王を睨め付ける。  魔王は楽しそうに笑った。 「俺と殺りあって勝てると思っているのか?」 「関係ない」 「関係ありません」 「なるほど。貴様らも肉奴隷になりたいのだな」  会話の間も魔王に揺すぶられ続けうまく言葉を紡げない勇者は頭《かぶり》を振った。  ――駄目だ! 駄目だ! 駄目だ!  ――勇者である自分が勝てなかった相手だ。  ――ログもイグルも強い。だが二人がかりでも魔王を倒す事は出来ない。  ――しかもここは魔王の城だ。何百という手下が控えている。生きたまま捕らえられ自分と同じかそれ以上の目に遭わされるかもしれない!  ――それだけは絶対に駄目だ!! 「国がお前たちの分の身代金を用意する余力があるといいな」  酷薄に微笑む魔王に対し騎士と魔術師は柄に手を沿え、構えをとった。  一触即発の空気を打ち破るように勇者は叫んだ。 「ログ! イグル!」  張り詰めた空気が僅かに緩み、勇者はさらに言葉を続けた。 「戦いは禁じる」  止まらない涙をそのままに引き攣る顔で必死に笑顔を作る。 「俺なら大丈夫だから。耐えてくれ。頼む」  構えを解かない友に更に続ける。 「そこを動くな。これは命令だ」 「だ、そうだ。そこで黙って見ていろ」  話はここまでだと言わんばかりに魔王は激しく腰を揺さぶりだした。  必死に声を抑えようと歯を食いしばるが、堪えきれず甘い呻きを漏らす。  構えを解いた二人は立ち上がったままの状態できつく拳を握り射殺さんばかりに魔王を睨んでいる。  二人の視点は魔王に合っていると分かってはいるが、勇者の痴態もまた二人の目に映っている。  そう考えると緊張で身を強張らせてしまう。  その結果、魔王の雄芯をきつく締め上げ、より一層の快楽に痴態を晒してしまう。  情けなく惨めな姿を晒しているというのに快楽に従順な身体は痛いくらいに張り詰め、蜜を流し続けている。 「ま、おう。抵抗はしない…から、手の拘束を解いてくれ」 「お前が俺にお願いか。そんなに前が苦しいのならそこで視姦している部下に頼んだらどうだ」  ――イグル……ログ……。  ――苦しい!  ――早く楽になりたい!  ――助けてくれ!  懇願したい気持ちを振り払うようにかぶりを振った。 「そうか。ならケツだけでイク姿を存分に見せてやれ」  内壁にある快楽の中枢を執拗に責められ感極まった嬌声を上げる。襲い来る愉悦に息が止まり、身体を駆け上がり脳を貫かんばかりの快感に一瞬意識が飛ぶ。  絶頂に達した勇者は性器から白濁とした液を迸≪ほとばし≫らせた。  絶頂の余韻に身体をひくつかせていると追い討ちをかけるように魔王は腰を揺らす。 「や、め…もう、むり……」 「俺はまだイっていない」  制止を無視し敏感になった内壁を蹂躙され勇者は身も世もなく喘いだ。 「んぁあ! あぁ……やめっ……やっ……」 「中にたっぷりと注いでやろう」  質量の増した雄芯は速度を上げ、立て続けに奥を責めると最奥で熱を放った。  使者たちに見せ付けるように魔王はゆっくりと自身を引き抜く。  楔を失い淫部から白濁の液を滴らせている勇者の脚を放し床に立たせるが、勇者は崩れるようにしてその場に倒れた。 「持って帰れ」  そう言い残し魔王はその場から消えた。

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