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樹海にて※

 魔王が退出して直ぐに魔術師と騎士がと駆け寄ると、勇者は黄金の髪を汗で額や頬に張り付かせ、血の気を失った顔は痛々しい程に憔悴していた。  瞼を僅かに開け蒼氷色《アイスブルー》の瞳が二人に向けられるが、力も光も弱々しく「すまない」と小さく零すとそのまま意識を失った。  騎士は身に着けていた外套を取り外すと勇者を包み抱き上げ、魔術師は治癒術式を発動させようとするが、眼帯の魔物に止められた。 「魔王の城ではあなた達の術はまともに発動はしませんよ」  魔王の城で魔族以外の術式が発動されないように細工されているのは当たり前の事だ。  だからこそ剣も魔法具も取り上げられる事無く入城を許されたのだから。  眼帯の魔物に促され城を出ると、術式が発動するのを確認し、筋力強化をすると二人は風の速さでその場を後にした。  筋力強化なしに歩けば半日以上の道のりをものの数分で駆け抜け、樹海の三分の二を過ぎた所で魔術師は足を止めた。 「イグルどうした?」 「魔物の気配がなくなりましたので、ここでアークの介抱をしましょう」 「ここでか?」 「先程からあなたの背で吐き崩れていますし、怪我もしていますしね」  言われて、おぶっていた勇者を仰向けに下ろすと包んでいた外套が吐瀉物で汚れ、舌を噛んだのか口元からは血が流れていた。  勇者をおぶっていたというのに、魔王の城から早く離さねばという思いから筋力強化をした身体で容赦なく飛び跳ね樹海を走った。その所為で勇者へ負担をかけ怪我をさせてしまった自分の不甲斐なさを苦々しく思い「クソッ!」と小さく吐き捨てた。 「吐いたり舌を噛んだぐらいでは死んだりしませんよ」  慰めにならない言葉をかけると同時に魔術師は治癒術式を発動させた。  術式が終わると青ざめていた勇者の顔に色が射し、心なしか表情が和らいだように見えた。 「気持ち悪いでしょう。これで口をゆすいでください」  勇者を抱き起こし、腰に下げていた水筒を口元へ付ける。  大半の水をそのまま口から零しながらもなんとかゆすがせると、持っていた水筒を地面へ置き、空いた手で勇者の口を親指で拭った。 「気持ち悪く辛いでしょうが我慢してください」  言葉の意味が分からず怜悧な顔を見ていると、魔術師に背を向けるように横向きに寝かされた。  背後で水の術式が発動されたのを感じ、今度は身体を清めてくれるのだろうと目を瞑り身を任せる事にした。  だが、魔術師の親指が双丘を開かせるように持ち上げられ、驚きから小さな悲鳴を上げた。 「イグル!? なんのまねだ?」 「魔王の体液を掻き出します」  秘部に魔術師の指の感触を感じて勇者は重だるい身体を必死に動かし逃れようと試みるが、直ぐに捕まる。 「ただの直腸洗浄です」 「やっ、じ…自分でやる。できるから!」 「私ほど器用に水の術式を操れないでしょう」 「なら、このままでいい!」 「駄目です」 「やめ……なにもするな! これは命令だ!」 「聞こえません」  絶対であるはずの命令を無視し、洗浄を行おうとする手から逃れようと足をバタつかせ身を捩る。 「ログ。アークを抑えてください」  騎士は勇者へ近付くと上半身を起こし、優しく抱きしめた。 「おとなしくしてください」  嫌だ。助けてくれとしがみ付き、必死に騎士に訴える。自分の腕の中で小さく震える姿に騎士は心を動かされ、何か他の方法は無いものかと魔術師を伺う。 「イグル……」 「駄目ですよ。このままにしていたらお腹を壊しますし、それに無いとは思いますが孕みでもしたら大変です」 「「孕みはしないだろう」」  勇者と騎士は同時に否を唱える。 「どうですかね。絶対とは言い切れませんよ。なにせ魔王のモノですからね」  ありはしないと思ってはいても一抹の不安から二人は押し黙る。 「とにかく早く処理するに越した事はないです」  観念してください。静かな声で言われ身体を強張らせる。  先程まで魔王に嬲られ熱が冷め切っていないこの身体に異物が入ると考えるだけで汗が吹き出る。  ――また醜態を晒すのか?  ――そんなの冗談じゃない!  ――嫌だ! 嫌だ! 嫌だ! 嫌だ!  身体を縮こまらせ必死にしがみ付いていると騎士は大きな手で勇者の頭をゆっくりと撫でた。  無口な男なりに心を宥めようとの行動に僅かに力が抜けるが、必死にかぶりを振り拒絶を示す。 「アーク。あなたのどんな姿を見ても我々の忠誠心は揺らぎませんよ」  何に対して不安を抱いているかを見透かす言葉に顔が熱くなる。 「我々を信用できませんか?」  真剣な眼差しに首を左右に振り答える。 「ならこの場は身体を預けてください。もし、我々を信用できないようでしたら……。先程の件も含め見られた事を消したいなら国に着き次第首を刎てくださって結構ですから」  そこまで友に言われて嫌だなどと泣き言を言える訳が無い。  意を決して「分かった」と消えそうな声で答える。 「俺はどうしたらいい?」 「逃げないでください。あと、力を抜いてください」  小さく頷き身体から力を抜くと魔術師は脚を開かせると身体を割りいれてきた。  脚を閉じさせないようにそうしたのだろうと分かってはいても落ち着かない気持ちになる。  騎士にしがみ付く手に力が篭る。 「ログ。そのままアークを捕まえていてください」  返事の代わりに勇者を抱きしめる腕に力を込められた。  魔術師の指が秘部に当てられ、きつく目を瞑り歯を食い縛るが、細く繊細な指がぬるりと押し入れられると小さな悲鳴を漏らした。  指がゆっくりと奥へ進むにつれゾワゾワと快感が身体を駆け巡り、堪らない気持ちになる。  魔術師を見ればその顔は無表情で、怪我の手当てでもしているようだった。  イグルには辱めるつもりも貶めるつもりもないのだ。  これは医療行為のようなものだ。  そう言い聞かせ、自分を宥めようとするが、魔王によって慣らされた身体は勝手に反応してしまい、甘ったるい喘ぎを上げてしまう。 「水を流しますよ」 「まっ待て! ログ、何か噛むものをくれ!」  更に襲い来る衝撃に備えての言葉に騎士は腕を差し出してきた。 「何もないので自分の腕を噛んでください」 「だが……」 「怪我をしてもイグルが直ぐに治すので問題ありません」  差し出された腕に口を付ける寸前で止める。 「…ログ。目を閉じてくれないか」 「分かりました」  出来れば耳を塞いでも欲しかったが、両手共に塞がっている状態では無理な要求だと、言葉を飲み込み騎士の腕に口を付けた。 「いきますよ」  断りの言葉を合図に術式が転回され、指とは違う感覚に身体を撓≪しな≫らせ身悶えた。  ログの腕を噛み爪を立てる事で必死に耐えるが、声は漏れ出る。  残滓を全て掻き出すため指が動かされる度に腰が揺れ、自身が張り詰めていく。  腹部がパンパンになった所で、脚を押さえていた腕の指と差し込まれている指とで恥部を広げられ、甘い呻き声と自身から蜜を滴らせる。  コプッという卑猥な音と共に水が流れ出て行くのを感じて、情けなさと惨めさとで涙が止まらなかった。

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