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其処は-11-※
これまでイグルを性的な目で見た事は無い。
出会ってからこれまで進む道を合わせてくれ、友の中で一番長い時間を過ごし、誰よりも信じ頼りにしてきた友人。
そんな友人に性欲を満たす手伝いを頼むなどありえない。
間違っている。分かっている。理解している。
だが、山道での告白では獣と交わる事も出来ると言っていた。
ならば自分と交わる事も出来るはずだと縋り付く。
「苦しい・・・助けてくれ」
銀髪の男は口元に微笑を浮かべた。
「私はどうすればいいですか?」
「それは・・・」
口篭った。
半年間魔王に幾度となく陵辱されはしたが、自ら行為を要求した事は無い為、言葉が出てこない。
「命令して頂かないと困ります」
色白の妍麗《けんれい》な顔に真っ直ぐ見詰められ気圧される。
これまでイグルに対し気後れをした事など一度もないのに。
それだけ今の状況と頼み事が後ろめたいのだろう。
やはり間違えている。
今なら引き返せる。
そう思うのに身体を蝕む影は淫欲を駆り立てるように侵食する。
「どうしました?」
頬を撫でられ、下肢は熱量を増し震えた。
堪らず声を上擦らせながら頼み込む。
「か・・・介抱・・・してくれ」
「介抱ですか?」
言葉の意味するところが分からないと言う様に伺い見ている。
察しの悪い男ではない。
何を言わんとしているかは分かっているはずである。
だが敢えて言葉にして欲しいという要求にアークは顔をヒク付かせた。
「イグル・・・」
「はい」
「好きに・・・してくれていい」
信頼している友人が自分を酷く扱う事は無いと信じての言葉だったが、銀髪の男は眉根を寄せ困惑の表情を作った。
「貴方に対して好きでしたい事などありませんよ」
そう言われ息を呑む。
その通りである。性の対象として見た事の無い相手に対してしたい事などある訳が無い。
やはりこんな事を頼むべきではない。
そう思いながらも身体中を淫らな熱で支配されているアークは言葉を止める事は出来なかった。
「く・・・くちで・・・」
「口で?」
「せ・・・性器を・・・か、介抱してくれ」
消え入りそうな声で言うと、恥ずかしさの余り俯いた。
とんでもない事を口にしたと後悔し、すぐさま訂正しようと口を開くが、それよりも早く返事が返された。
「分かりました。それではズボンを脱いで下さい」
言葉に反応できず、固まっていると細く長い指先が顎を撫でた。
「自身で脱げぬようなら脱がせて差し上げますよ」
「い・・・いや、いい」
断り、ズボンのボタンへと手を伸ばすが上手く外す事が出来ずにもたついていると手が添えられた。
「自分で・・・」
「いいですから」
そっと手を退けられた。
友人にズボンを脱がされる状況に緊張と興奮を覚え、更に性器が硬くなる。
「腰を上げて下さい」
両手を床に付け、言われるまま腰を浮かせるとズボンが抜き取られた。
剥き出しになった下肢の真ん中でそそり立ち、淫靡な蜜を滴らせている自身を目にし、羞恥から顔を背ける。
「そんな頑なに脚を閉じられていては介抱するが出来ませんよ」
左右それぞれの膝に手を添えられ、抵抗を覚えながらもおずおずと脚を開く。
ある程度開いたところで身体を割り入れられると、樹海にて指を差し入れられた時の事を思い出し、長く繊細な指で内部を弄られる事を期待して陰部がヒク付いた。
「性器《ここ》だけではなく陰部《こちら》も物欲しそうですね」
何時もの無表情とは違い蠱惑的な微笑を持って花弁をなぞられ、たまらず小さな悲鳴を上げた。
「どうしましょうか?」
僅かに理性は残されていたが、もう限界だった。
硬く張り詰めた性器は痛いくらいに疼き、異物を受け入れる事を知っている陰部は痙攣し訴える。
――犯されたいと。
そんな欲望を抱いている自分に絶望し、止まっていた涙が再び溢れた。
騎士として男として必死に守ってきたものが淫欲によって崩されて行く。
屈辱と情けなさから涙は流れ続ける。
「い・・・入れて・・・くれ」
懺悔でもするように苦悶の表情で呟いた。
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