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変わらぬ想い 6話
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アレックスの行き着けだというバーにyoshiとアキは来ていた。
周りは外国人ばかりだが、言葉は通じなくても意外と楽しめるよな、なんてアキは思う。
トイレに行きたくなり、アキは1人でトイレに向かう。
そこで硬直するアキ。
階段そばで抱き合ってキスする男性2人。
………………えっ~と、 目のやり場に困り下を向きながらトイレにと入った。
そこでも硬直。
個室から聞こえる喘ぎ声。
しかも、そうだよね?男同士だよね?
だって、男子トイレだもん!
なーんか、おかしくない?
アキはトイレをさっさと済ませて出ようとした。
『ハイ!君、1人?』
見知らぬ外国人が声を掛けてきた。
えっと、何て言ってるんだっけ?
悩みながら答えないアキに、
『シャイなんだね。日本人の男の子って大人しくて好みだよ』
手を伸ばしキスをしようとする。
「わあーっ!ちょ、だめ!」
アキはとっさに外国人を突き飛ばして逃げ出した。
ちょ、ここって………………もしかしなくても、ゲイの皆さんが集まる場所?
えっ?じゃあ、嘉樹くん危ないじゃん!!
アキは凄い勢いでyoshiの元へ戻る。
が…、
居たはずの場所にyoshiが居ない。
そんな!嘉樹くんまさか誰かに?
不安で頭がいっぱいになりながら、yoshiを捜す。
アレックスも居ない。
まさかアレックスって嘉樹くん狙い?
あー、くそっ!
嘉樹くん1人にするんじゃなかった!
バーの外?
外に連れて行かれたらアウトだ。
入り口を出てすぐにアレックスを見つけた。
嘉樹くんは?と聞こうとして、また硬直する。
アレックスが誰かとキスをしていた。
まさか嘉樹くん……!
恐る恐る近づく。
そして、ホッとした。
yoshiではない。
じゃあ、どこに?
階段を降りて、ようやくアキはyoshiを見つけホッとした。
階段の隅にyoshiは座り込んでいる。
「嘉樹くん、良かった」
そばに行き声を掛けると、yoshiは寝てしまっていた。
*****
さて、困った。
豊川は携帯を見つめたまま困っている。
話し合いが長引き、遅くなりそうだから先に寝てても良いよ。とyoshiにメールを送ったら、
返信が、タケルのばーか、だった。
かなり拗ねている模様。
確かに拗ねるだろうな。
一緒にしばらく住めるというのに2日目でこれだ。
ちゃんとマンションに居るのだろうか?とも不安になる。
早く帰りたいのに薫が小一時間程前に席を外したっきり戻って来ない。
佐久間も気にしているようで、
「ちょっと見てくるからサクは待ってろ」
と豊川は立ち上がり、その場から離れた。
yoshiに電話しながら歩く。
コールはせずに、すぐに留守番電話に切り替わる。
着信拒否をしているか、音を切っているのか、どちらにせよ、ご機嫌ななめなのは間違いないだろう。
薫を捜しながら奥へと進む。
スタッフオンリーとプレートが掛かった部屋を見つけた。
ここかな?とノックしようとして手を止める。
中から声が聞こえてきた。
「ちゃんと動けよ照哉」
薫の声。
「ざけんな!!お前が動けよ!」
そして、あの綺麗な青年の声。
明らかに何をしているのかは分かる。
ドアノブを回すと鍵は開いていて、何て無防備な!と豊川は思う。
少し開けて中を見ると椅子に座りこちら側を向いている薫の上に乗り、腰を掴まれ動いている照哉の後ろ姿。
しかも照哉は後ろ手をネクタイで縛られている。
下半身だけ脱がされて、薫のモノをくわえ込んでいる白い照哉の尻も見えて豊川は思わず、目をそらした。
吐く息が荒い薫。
昔、抱き合っていた頃を思い出す。
…て、薫のやつ!
人を待たせてセックスかよ!
ちょっとイラっと来た。
くそ、帰ってやる!とドアを閉めようとした時にふと視線を上げてしまい、薫と目が合った。
薫はニヤリと笑い。
口元が 子猫ちゃんによろしくと動いた。
あんにゃろーっ!
イラっとしながらその場を去り、佐久間を連れてバーを出た。
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