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変わらぬ想い 7話

****** アキはyoshiに近づき顔を覗き込む。 つい、長い睫毛や、薄く開いた柔らかそうな唇に目が行ってしまう。 「嘉樹くん、寝てる?風邪引いちゃうよ」 と彼の身体に触って良いものかと戸惑いながらも肩を揺する。  「…アキ?」 眠そうな瞳でアキを見つめるyoshi。  うっ、可愛い!  「何でこんな所で?」 「アレックスの恋人が来たから…邪魔しちゃ悪いと思って」 ああっ、確かにキスしていたな。とアキは納得。 「帰ろうよ、風邪引くし」 「やだ!」 yoshiは立ち上がるとフラフラと歩き出した。  「ちょ、嘉樹くんどこ行くの?」 アキは慌ててyoshiの腕を捕まえる。  「……るの、ばーか」 「はい?」 よく聞こえなかったアキは聞き返そうとyoshiに近付くと、彼が抱き付いてきた。  うわっー嘉樹くん!  ちょ、こんな所で…!  戸惑うアキの腕の中でyoshiは力抜けたように倒れ込む。  「えっ?ちょっと」 抱き抱える形になったアキはようやくyoshiが酔って寝ていると気付いた。  だよね………。  一瞬期待した俺の馬鹿! アキはとりあえずタクシーをネット検索して、今居る場所まで呼んだ。  yoshiと一緒に乗り込み、運転手に行き先を聞れ、彼の家を知らない事を思い出す。  うっ、じゃあ……アキは自分のアパートの住所を言う。  yoshiはアキの膝枕で熟睡。  寝顔がやっぱり可愛い。 俺、男に興味は無かったけどなあ。  どうしてかyoshiは気になる。  だって女の子よりも可愛い! 「彼女、酔っ払ったの?だめだよ、女の子にそんな酒飲ませちゃ」 タクシーの運転手が話掛けてくる。  女の子?  yoshiをじっと見る。  確かに初めて見た時女の子かと思ったもんなあ。 彼女かあ…。  「可愛いね。お兄さんの恋人」 運転手の言葉にアキはニヤニヤしながら、  「はい。可愛いです」 と答えた。 yoshiの頬を触るとアルコールのせいで熱い。  肌、スベスベだあ!  親指がyoshiの唇に当たる。  柔らかい感触。  親指で唇の形に撫でて、柔らかさを確かめる。  あーっ、チュウしたい! でも、タクシーの中だし!  アパートに連れて帰ればキスくらい出来るかな? 淡い期待に下半身も元気になるアキ。  「…んっ、ここ?」 yoshiがうっすらと目を開けてアキを見上げる。 ああっ、可愛いよう!  「タクシーの中」 「……気持ちわるい」 「えっ?」 「はきそう……」 yoshiは気持ち悪そうに口を押さえる。  「えっ?、ちょ、運転手さん止めて」 アキは慌ててタクシーを停めさせるとyoshiを外に連れ出した。 タクシーが停まった場所は少し離れた場所にトイレがあり、とりあえずyoshiをそこに連れて行く。 手を洗う場所でyoshiはしゃがみ込む。  アキは背中をさすりながら、  「気持ち悪いなら吐いた方がいいよ」 「んっ、」 そう返事が返ってくる。 今、連れて帰ったらまた気持ち悪くなるかな?  そんな心配をしているとクラクションが聞こえてきた。 あっ、タクシー。  停めさせた路肩はそんなに長い時間停められない。  アキは料金を払いにタクシーに戻る。  支払いを終えてyoshiの所へ戻ろうと振り向いた先にラブホテルの看板が目についた。  ラブホテル……。  ちょっと休んで…  うん、具合悪いから休むだけだよ、うん。  アキは足早にyoshiの元に戻る。 しゃがみ込むyoshiの肩を掴み、 「よ、嘉樹くん…どこかで休んでいこうか?」と声を掛ける。  「うん」 うん?  今、うんと言いました? そうだよ、休むだけだし、やましくないし!  アキは沢山の言い訳を心でブツブツ言いながら、yoshiを立たせた。  まだフラつくyoshiの腕を自分の肩に回し、腰に手を回し支える。  うわっ、腰、細っ!  そんなやましい気持ちを抱えアキは歩き出す。

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