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変わらぬ想い 8話
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何度電話を掛けてもyoshiに繋がらない。
拗ねているだけかと思っていたけど、もしかしたら…?
倒れているとか? 事故とか?
なんだか嫌な想像ばかりしてしまい焦る。
とにかく早くマンションへ!
ふと、知っている顔を見掛けたような気がしてスピードを落とす。
アキ?
歩道を歩く知った横顔。しかも誰かを支えて…………。
豊川はアキが向かう先へと車を停めた。
アキが支えているのが誰かが分かったからだ。
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ドキドキしながらyoshiを支えて歩く。 ラブホテルのネオンが近付いてくる。
うん、休むだけだし!
そう思いながらyoshiをチラリと見る。
さっき触った柔らかい唇。
細い首、白い肌はスベスベで、 女の子みたいに可愛いyoshiに生唾が出る。
俺って肉食獣だったんだなあ。
なんて思いながら歩く自分の前に停まる見覚えがある車。
「嘉樹」
聞き覚えがある声。
車から降りてきた人物は、
「しゃ、社長!」
豊川だった。
豊川は真っ直ぐにアキの前に立つと、yoshiに手を伸ばして、あっという間に自分の腕の中に抱き込んだ。
「酔ってるのか?」
yoshiは豊川の腕の中でウトウトしていて、
「あ、あの、さっきまで嘉樹くんの友達と3人でバーで飲んでて」
そうアキは答えた。
その説明でなる程と思った豊川。
電話に出ないわけだ。
「嘉樹は酒強くないんだ、あまり飲ませるな」
豊川はyoshiを抱き上げると車の助手席に乗せた。
「じゃあ、アキまた明日」
豊川はアキに手を振ると走り去った。
えっ、えーーと?
アキは茫然と立ち尽くす。
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良かった。
助手席で眠るyoshiを見てホッとため息をつく。
でも、アキがyoshiを支えている姿を見てムッときた。
腕や腰、 yoshiの身体は誰にも触らせたくない。
全て自分のモノ。
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豊川はゆっくりとyoshiをベッドに降ろす。
熟睡中のyoshiの頭を撫でながら、
「全くお前は無防備過ぎるぞ」
とため息をつく。
「他の男に無闇に身体を触らせるな。嫉妬するだろう」
アルコールで熱を帯びた頬に触れると、そのまま顔を近付けてyoshiの唇にキスを落とす。
髪を撫で、額や頬、唇にキスをしながらyoshiの服を脱がせていく。
マジかよ、起きない………。
アキに手を出されたらたまったもんじゃなかったな。
そう考えながら、ふと…アキが進んでいた方向にラブホテルがあったような?なんてぼんやりとした記憶を辿る。
まさか…ね?
yoshiの上着を脱がせてシャツまで脱がせジーンズに手をかけた所でyoshiがようやく目を開けた。
さらりと髪を撫でられて、目を開けると豊川が自分を見下ろしている。
「あーっ、たけるだあ。」
少し呂律が回らない口調で豊川の名前を呼ぶ。
「ようやく起きたか」
呂律が回らないyoshiの口調が可愛くて豊川は笑う。
「なに、わらってんだよお、たけるのばーか」
ベッドから起き上がると豊川の顔を軽く両手でペシペシと叩く。
「なんだ、拗ねてたのか?」
顔を叩くyoshiの両手を掴むとそのままベッドに押し倒した。
「やら、たけるとエッチしないんだから!俺は怒ってんの!」
抵抗しながら豊川を睨むyoshi。
「ごめんな。待たせて」
「フンだ。謝ってもだめ」
yoshiはプイッと横を向く。
「アキ達と飲んでたんだろ?それでも怒ってたのか?」
「そーだよ!飲んでた!でも、楽しくなかったし、怒ってんの俺は!」
「楽しくなかったのか?…どうして?」
「どうして?」
yoshiは豊川に視線を向けると、
「たけるが居ないからに決まってるだろ!たけるが居ないとつまんないの!」
そう言って怒り出す。
「嘉樹………」
そんな可愛い事言われたら…
豊川は覆い被さるようにyoshiを抱きしめる。
「もう!おーもーい!」
豊川の下でジタバタと暴れる。
「悪い」
離れようとする豊川に腕を伸ばし、
「寂しくさせたんだから、いっぱい愛してよ」
とyoshiは耳元で囁いた。
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