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変わらぬ想い 10話
「お前にならいいぜ」
「お断りだ。で、そんなくだらない事を言う為に電話してきたのか?」
やっぱイラッとくるぜコイツ!と豊川は思う。
「それもあるな。…関係者だけのパーティーを開くから出席しろ。もちろん子猫ちゃんもな」
「断る、嘉樹は連れて行かない。隙をついて食われそうだからな」
「おー、良く分かるなあ。さすがだなあ」
「馬鹿野郎。切るぞ」
「子猫ちゃんがそんなに大事か?大事過ぎて世間から隔離してんのか?家猫も良いけど、外猫も自由でいいぞ、本当に大事ならな。ずっと隠してもおけないだろうし、それに………光一も誘うぜ。この機会に交際宣言しろよ」
この言葉で完全にキレた豊川。
「お前を刺すのは俺で決まりだな」
そう怒鳴って切った。
あああっ!もうクソ薫!
イライラが止まらず、キッチンへと向かう。
冷蔵庫から水が入ったペットボトルを出すとキャップを開け、一口飲む。
交際宣言って、簡単に言いやがって!
豊川は寝室に戻り、ベッドで熟睡しているyoshiの髪に手を伸ばし触れる。
寝顔はずっと見ていても飽きない。
ずっと隠しておくのか?
ズキッと来た。
そうだ……光一にはずっと隠しておけない。
友情を失うかも知れない。
豊川はyoshiの唇にキスを落とす。
それでも、 好きだから仕方ない。
光一に呼ばれてyoshiに初めて会った時、あの時から心は奪われていた。
綺麗で汚れていないような彼。
自分に無い物を全部持っていそうで、たまらずに自分のモノにした。
「…んっ、たける?」
キスを繰り返す内にyoshiが目を覚ました。
首筋に唇を這わせると、
「さっき、イッたばかりじゃん…たける」
と抱き付いてくる。
「好きだ」
身体を愛撫しながら豊川は言葉にする。
「俺も………んっ、あっ…」
愛撫を感じながら可愛く喘ぐyoshi。
身体を重ねながら豊川はyoshiに愛の言葉を繰り返す。
好きで 好きでたまらない。
この気持ちは何があっても変わらない。
*****
「おはようコウちゃん」
自販機の前、缶コーヒーを飲む光一にマコトが声を掛けてきた。
「おう、マコトおはよう」
返事を返す光一は元気がないように見える。
「元気ない?」
「まーな。昨日拓也に怒られた」
「えっ?」
「嘉樹の事、拓也に教えただろ?」
マコトはちょっとドキッときた。
「ごめん」
「別にいいけど。で、拓也にちゃんと父親としての責任取れって言われた」
ため息をつくを光一。
拓也はどんな気持ちで責任を取れと言ったのだろうか?
マコトは胸が痛くなる。
「子供にそんな事言わせる親って失格だよな」
光一はその場に座り込む。
「拓也くん、コウちゃんが大好きなんだよ。だから、コウちゃんが諦める前に怒ったんだよ」
光一を何とか元気付けようと言葉を捜すマコトだが、上手く言えない。
「……諦めてるように見えてるか?」
光一は顔を上げてマコトを見た。
「見えるけど?」
即答するマコト。
「諦めてはない!ただ、どうして良いか分からないだけだ。嘉樹は俺を見れば文句しか言わないし、今更なんだけど、嘉樹が何を好きかとか、どんな事をしたら喜ぶか知らないんだよ。豊川の方が余程知ってる」
「……まあ、しょうがないよね。そこら辺は自業自得だし」
「お前、俺を慰めてんじゃないのかよ」
ムッとする光一。
「タケちゃんには適わないしね。」
チッと舌打ちすると
「今日はおせえなあ」
都合が悪くなり話を急に変える光一。
「誰が?」
「嘉樹と豊川だよ」
何時もより出勤が遅い。
「タケちゃんなら今日午後からだよ。嘉樹くんも」
「えっ?何で?」
「知らない、さっき携帯に電話あったもん。午前中は仕事ないみたいだし、タケちゃん働き過ぎだし、いいんじゃない?」
「何で嘉樹まで午後からなんだよ」
何か面白くない光一。
「嘉樹くん体調不良みたい」
「えっ?」
光一は拗ねた顔から心配した顔になった。
*****
「んっ、…あっ、やっ」
yoshiは豊川に背中を舐められ感じる。
背中の背骨がある辺りを真っ直ぐ腰まで一気に舌で舐められる。
「やっんっ」
ビクッと身体が震えyoshiは声を上げる。
「背中気持ちいいか?もっとしてやる」
豊川は舌を使い背中を執拗に舐めていく。
「や、たける…もう、やめ……しごと……おくれちゃう」
息を荒くしてyoshiは時間を気にする。
そんな彼は豊川のキスで目を覚まし、身体を舐められて今に至る。
時間は7時過ぎ、もう用意しないと遅くなってしまう。
「時間が気になるのか?じゃあ、待ってろ」
豊川は携帯を手に誰かに電話を掛けた。
誰?
yoshiが気にしていると、
「マコトか?今日は午前中仕事ないから午後から出るよ。あ、嘉樹はちょっと体調不良で、様子みて出勤させるから」
そう言って電話を切った。
「えっ?」
内容にビックリして思わず豊川を見るyoshi。
「時間が出来たぞ。」
ニヤリと笑う豊川。
「夕べ待たせたからな。午後までゆっくり出来るから、いっぱい甘えなさい」
そう言ってyoshiにキスをする。
「たける…嬉しい」
yoshiは豊川に抱きつく。
「とりあえず一発やらせてくれ、もう限界だから」
真顔でお願いする豊川にyoshiは笑い出す。
「笑うな。夕べだけじゃ足りなかった。仕事中も嘉樹の事ばかり考えてた。嘉樹不足だから、充電させてくれ」
「何?俺の穴って充電器なわけ?やーらしいなタケル」
からかい半分だけど、自分の事ばかり考えてくれていたのが嬉しい。
yoshiは豊川の下半身へと頭を持っていき膨張したソレを口に頬張る。
「あっ…」
色っぽい声をだす豊川はyoshiの舌使いに身体を乗っ取られたかのように力が抜けていくのを感じた。
初めては自分だけど、確実にyoshiにフェラを仕込んだ男が居る。
なんか、腹が立つ。
yoshiにではなく見知らぬ相手に嫉妬している自分がいる。
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