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許容範囲 3話
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「あれ?事務所に行くんじゃないの?」
昼までイチャイチャした豊川とyoshiは車に乗り込み、仕事先へと向かっている。
「顔合わせ。」
「えっ?何の?」
キョトンとするyoshi。
「佐久間のパンフを見た雑誌社が佐久間の服特集組むからって」
「んっ?それって?」
「黙っててすまない。嫌がるかと思ってさ」
顔合わせとはyoshiの仕事だったようだ。
「たけるう」
ムッーと膨れっ面になるyoshi。
「お詫びはちゃんとするからさ?なっ?機嫌直せ」
ぷいと横を向くyoshi。
でも、豊川がオロオロとしているから、
「いいよ、でも…その代わり俺の言う事聞いてよね」
と条件を出した。
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豊川が内緒で連れて来た理由はもう1つあって、打ち合わせがあるビルに入り、会議室に通されて………その理由を知った。
「よおっ」
yoshiに手を振る拓海。
思わず豊川を睨む。
スタッフに座るように促され、拓海と離れた席に座るyoshi。
「どういう事?」
豊川をつつく。
「俺、嘉樹の前のイメージキャラだったわけよ。で、一緒にってさ」
「拓海に聞いてないし!」
拓海に説明を聞いて無愛想に返事を返した。
「それはすみませんね。あ、体調はもう良いのか?」
拓海の言葉にyoshiは、前に介抱して貰った事を思い出した。
そうだった。 嫌な奴だけど、お礼くらいは言っておかないと~
「大丈夫………この前はありがとう。」
そう言って頭を下げた。
「なーんか素直だね嘉樹」
拓海はそう言うとニコッと笑う。
笑顔を初めて見た気がする。
全然嫌みがなく、可愛いと思える笑顔。
年齢よりも幼く見えて、凄く可愛いと思ってしまった。
なんか、調子狂う。
「お疲れ様です」
部屋に佐久間が入って来て、yoshiは緊張が少し解けるのを感じた。
知らない場所。
初めての人達。
初めての仕事。
緊張しないわけがない。
でも、豊川が隣に居て、拓海も知り合いで、そこに佐久間が加わった。
カチカチの緊張がほぐれた。
「嘉樹くん体調は?出掛けに事務所で光一さんから嘉樹くんが具合悪いって聞いてたから、心配だったんだ」
佐久間が心配そうに側に来た。
yoshiと豊川は一瞬、目を合わせ、
「大丈夫です」
yoshiはニコッと笑って見せた。
そうだった、体調不良と言う事でタケルと一緒に居たんだった……yoshiはその事も忘れていたのだ。
「お待たせしました。」
そう言って雑誌社のスタッフが続々と入って来て、yoshiはまた緊張で心臓がバクバクになる。
ふと、膝の上の手をぎゅっと豊川に握られた。
一瞬にして緊張したのが分かった豊川の優しさ。
その手はすぐに離れたが緊張がほぐれて、そして嬉しくなる。
タケルが居て良かったってyoshiは思った。
「今日はお呼び立てして本当に申し訳ないですね。来て下さってありがとうございます」
スーツをラフに着こなした豊川と年齢が変わらない男性が近付いてきた。
豊川も拓海も佐久間も立ち上がったのでyoshiも慌てて立ち上がる。
男性は雑誌社の編集長で、滝沢と名乗った。
「滝沢さんなーんか気取ってない?」
拓海がクスクス笑う。
「あ、だってほら初めて会う子がいるからさ………最初が肝心だろ?」
「やめなって、どうせ気取っても後からバレるんだかさら」
拓海と滝沢の会話をキョトンとして聞くyoshi。
「だな、どうせ5分も持たないくせに」
と豊川も笑う。
「タキさん疲れますよそんな気取ってたら」
佐久間にまで言われて滝沢は、
「そうだな、」
と笑い。
「嘉樹くん宜しくね」
と気さくそうに握手を求めた。
「はい。こちらこそ」
と握手を交わすyoshiをニコニコ人懐っこい笑顔で見る滝沢。
「写真で見るより本当に綺麗だね。えっと…………高校生だっけ?」
「は?」
またか………とyoshiはちょっとムッとくる。
「滝沢、彼は二十歳だ」
豊川に指摘され、
「ああっ、そうなの?本名も年齢も非公開だったから分からなくってね、ごめんね。でも、童顔だよね」
慌てて謝る滝沢は偉い人の雰囲気が全く感じられなかった。
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