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愛の重さ 3話
ナオの瞳に映ったのは、豊川の裸の背中。
そして、yoshiの広げられた両脚。
豊川の身体が動くとベッドがきしみ、yoshiが喘ぎ声を出す。
「んっ、たけるっ、………あっ、いいっ……」
初めて聞くyoshiの甘い声。
豊川がyoshiの身体を抱き起こして座ったままの姿勢で身体を激しく揺さぶっている。
yoshiは豊川にしがみつく。
抱きついた事でyoshiの表情が見えた。
紅潮した頬。
甘い声を出す唇は常に開いていて、豊川の動きに合わせて荒々しく息を吐く。
「たける、すきっ、もっと激しくして、いつもみたいにっ」
yoshiはそう言うと自らも身体をくねらせて体を動かしている。
yoshi………っ、
こんなにいやらしく乱れるのか?
もう、守ってあげるような小さい子供じゃない。
時間は過ぎるし、子供は大人になる。
ナオはその場に座り込んだ。
ギシギシッときしむベッドの音が耳に響いてくる。
あんな風に抱きたい。
********
バイブの振動で豊川は目を開けた。
携帯が振動している。
腕の中で眠るyoshiを起こさないように携帯を手にベッドを抜け出す。
電話は薫から。
こんちくしょー!
と思いながら電話に出た。
「何時だと思ってる?」
あからさまに不機嫌そうに出た。
「深夜2時だ?不機嫌そうだなタケル。セックス中だったか?」
ち、と舌打ちをする豊川。
からかう為の電話か?
「今、マンションの前に来てるんだ出て来いよ」
「はっ?」
「降りて来ないとチャイム鳴らし続けるぞ?子猫ちゃんにも会いたいし」
ああっ、もう!
選択肢なし。
「分かった」
そう言って電話を切った。
寝室に戻り、yoshiの様子を確認する。
散々抱いたから疲れて爆睡しているようで、頬にキスすると、走り書きのメモをベッドの脇に置き、支度をして部屋を出た。
横付けされたロールスロイス。
「よおっ」
ニヤリと笑う薫。
「仕事あるんだけど?」
嫌みを言う豊川。
「子猫ちゃんを抱く仕事?」
ちっ、
豊川は舌打ちをする。
******
撮影が終わった拓海は帰ろうとスタジオを出る。
ナオはyoshiと豊川のマンションだから帰っても1人。
ずっと1人だったから慣れてる筈なのにナオと暮らし始めてから1人が苦手になった。
ナオ、もう寝てるよね?
時計を見る。
yoshiに豊川と付き合っていると告白されてから、元気が無かったナオ。
ショックだろうな。
ナオがyoshiに恋心を持っている事を拓海は知っているから尚更心配。
弟を取られた心境だよと昨日口にしていた。
強がり。
ナオがキッパリと諦めてくれたら嬉しいけれど。
幼い時からの片思い。
ナオの為を思ったらyoshiと両思いの方が良いのかな?
なんて昨日からそんな事ばかりを考えていた。
「拓海」
目の前に憂の姿。
「久しぶり」
ぎこちなく笑う憂。
ずっと、会わないようにしていた相手。
寂しくて誰でも良いから肌を重ねたくて抱いた相手。
てっきり性体験はあると思ったのに彼女は処女で驚いた。
スタッフや社長やプロデューサーあたりに食われてると思ってたのに。
軽々しく手を出してはいけない相手だった。
「ずっと避けられてたから、遊びだったって分かってたけど……マネージャーからも、諦めなさいって言われて………でも、会いたくて」
憂は拓海の方へ近づいてくる。
「ごめん。ずっと避けてて……俺は一夜限りの関係のつもりだったのに傷つけたな」
拓海は頭を下げた。
今なら分かる。
彼女は自分。
自分を好きではない相手をずっと追い掛けて、1人泣いているんだ。
ナオ…………。
それでもナオが好き。
拓海が頭を下げると憂は驚いた顔をして「やだっ、なんか告白する前に振られたみたい」とその後笑った。
「私もごめんなさいストーカーみたいだったね。初めての相手だったから………でも、処女をあげたのは後悔してないから」
拓海にそう言うと「諦めるから、次会っても無視とかしないで」と続けた。
「うん。ごめん」
拓海も憂に笑いかける。
「じゃあ、また」
憂は手を振ると去って行った。
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