173 / 275

愛の重さ 11話

泣き出したyoshiに驚く。  「ナオ、ごめんなさい。俺、酷い事させてる。沢山傷つけてる……ごめんなさい」 ポロポロと涙を流すyoshiの顔に手を伸ばすナオ。 「俺………ナオに愛想つかされるのがずっと怖くて、拓海に取られるのも怖かった。でも、これは俺のワガママ。………ナオに憎まれるのも怖くて………ナオが俺の身体、欲しいならあげたかった。でも、身体目当てみたいな感じでナオは嫌だろうなって………恋愛感情は持っちゃダメだってずっと……やっと忘れてお兄ちゃんみたいに思えた頃にタケルを好きになって……俺は、ナオに愛されちゃダメなんだよ」 「嘉樹…何言って……」 yoshiの話す言葉はまるで、昔、彼にイタズラした事を知っているようで、ナオは身体が強張った。 「ナオが好きだった純粋に。ナオが身体求めるなら…あげたかった。でも、これってナオを余計に傷つけてるよね?俺はナオに憎まれるんじゃないかって、ずっと不安だった。だってナオのたった1人の家族奪ったの俺だから……………だから、」 「嘉樹、なに………?兄さんの事?」 「お父さん死んだの俺のせいだもん、俺が車の中で発作起こしたから…………ごめんねナオ、俺の………」 「嘉樹、待て、嘉樹のせいじゃない。」 ナオは泣きじゃくるyoshiを抱き起こす。  「嘉樹、落ち着こう。な?あの事故は嘉樹のせいじゃない」 「ちが、ちがう、俺が」 息が苦しそうになるyoshiをナオはギュッと抱きしめて背中をさする。  「嘉樹、その話は止めよう。落ち着こう。大丈夫だから」 ナオはシーツでyoshiを包むとずっと背中をさする。 少し過呼吸気味のyoshiにこれ以上話はさせられない。  「落ち着いて息をゆっくり吐こう、いい子だから」 安心するように頭を撫で、抱きしめる腕に力を入れる。 しばらくすると呼吸がゆっくりになり、ナオは、  「嘉樹、とりあえず服着よう。目のやり場に困る」 そう言って頭を撫でる。 でも、手が震えているyoshiはなかなか自分で着る事が出来ないみたいで、とりあえず着やすそうな服を豊川のタンスから借りた。  「落ち着いた?」 俯くyoshiに声をかける。  「なおっ、ごめんなさい」 本当に小さく呟くように言うyoshi。  爪を噛もうとするのをナオは自分の手でyoshiの指を包み込んだ。  「嘉樹、事故の事……覚えてたんだ?」 コクンッと頷く。  「おれ、おれの……せいなのっ」 震えるyoshiをナオはギュッと抱きしめて、  「今日はその話はよそう……発作出ちゃうかも知れないだろ?」 何時ものナオに戻り優しい口調で言う。 「俺が死ねば良かった。お父さんとお母さんの代わりに」 抱きしめられたyoshiはナオの肩に顔をつけて泣いている。 ずっと、そう思っていた。 「嘉樹、そんな事言っちゃダメだ」 「だってそうだもん、あの日………俺が無理して旅行に行こうとか言わなかったら、ちゃんと家で寝てたら……お父さんは死ななかった。助手席に俺が乗らなかったら、発作なんか起こさなかったら………ごめんなさい、なおっ、ごめんなさい」 震えるyoshiの身体をギュッと抱きしめて「嘉樹、もういいから!ね?その話は止めよう」と耳元で優しく言うナオ。 「良くない!ナオの家族を奪ったのは俺だもん、だから、ナオが離れて行くんじゃないかって……憎むんじゃないかって、…………ずっと怖かった」 ナオは泣きじゃくるyoshiの両肩を掴むと「憎んだりしない。嫌いにならない。嘉樹、代わりに死にたいとか言うんじゃない!僕は兄さんが嘉樹を守ってくれたのを喜んでるよ」と少しきつめの口調で言った。 「俺にはそんな価値ない」 「あるよ、あるから兄さんが守ったんだ。兄さんは嘉樹が凄く大事で命にかえても守りたかったんだよ。それくらい兄さんの嘉樹への愛は重いんだ………僕も同じ立場なら嘉樹を守るよ。」  だから泣かないで………。  ナオは強く強くyoshiを抱きしめる。

ともだちにシェアしよう!