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距離 2話
「いいから寝てろ、今、この部屋出たら追い掛けて来た奴らに捕まってレイプされるだけだ」
薫の言葉に拓海は震えが来て思わず抱き止めている腕にしがみつく。
「ここに居れば大丈夫だ」
震える拓海を安心させるように優しく言う。
「それに、恋人が迎えに来るみたいだから、それまで寝てろ」
恋人………?
なおっ?
拓海はビクンッと身体を反応させ「ナオがここに?……俺が何されたか言ったの?」と泣きそうな顔で薫を見る。
「お前、顔と身体は良いけどバカだな」
フッと笑う薫。
ぐっと拓海の両手を束縛し、ベッドへ押し倒した。
キングサイズのベッドが少しきしむ。
いきなりで声が出せない拓海。
「お前が何でレイプされそうになったか分かった。そうやって、弱みを呆気なく人に見せてるからだ」
拓海の手を頭の上でキツく片手で拘束して薫は彼の頬に触れる。
ビクンッ怯える拓海。
「恋人にはまだお前が何されたかは言っていない。でも、身体のキスマークがあいつらに付けられたのなら、誤魔化すのは大変だぞ」
そう言って薫は拓海のシャツをはだけさせる。
首筋にはつけられなかったけど、服の下なら良いよな?と相模に付けられた。
真鍋はキスマークはつけない。写真撮影等に響くからと……だから、真鍋に抱かれた後も気付かれずにナオに抱かれていた。
「恋人は追い返してやるよ………豊川にもお前がされた事を言わないように言ってやるよ。でも………それには条件がある。俺とセックスしろ」
ニヤリと笑う薫。
拓海はただ、黙って薫を見ているだけ。
「抵抗しねーて事は条件を呑むんだな」
薫は拓海の股間に手を置き、布の上からさすりながら舌を使い、首筋からゆっくりと舐めていく。
「……んっ、」
拓海は目を閉じてされる行為を受け入れた。
ナオに知られたくない。
どうせ、やられてたんだ………同じ事。
ただ、相手が変わっただけ………。
「……んっ」
肌に這う舌と服の上から股間を触られる感触に声が漏れる。
ファスナーが下ろされ、下着の中に手が入ってきた。
やめっ……、
声を出そうとするが拓海はその言葉を飲み込む。
「本当にお前は馬鹿やろうだな」
薫は拓海を見下ろす。
「嫌だとちゃんと言葉にしねーと、何時まで経っても状況は変わらない」
その言葉に拓海は返事も出来ず薫を見上げるだけ。
「それともセックスが好きなだけなら、このまま続ける」
薫はギュッと下着の中の拓海のモノを掴む。
「うっ……」
結構強く掴まれ、拓海の顔が歪む。
「さっきはちゃんとタケルに助けてと言っただろ?自分の身は自分で守らないと誰も守ってくれない。嫌なら嫌と言葉にしないと相手には伝わらない」
薫の言葉に拓海は……
「やっ…………や、です」
と震える声で言った。
「良く出来ました」
薫は下着から手を出し、拓海の服を直す。
「ちゃんと言葉にしないから相手に図に乗られるんだ」
薫の言葉に拓海はジワッと涙を浮かべる。
「すぐに弱みを見せるな。さっきみたいな態度を取るとつけ込まれるぞ、人はいつも、相手のアラを捜して弱みを握り支配したがる、だから、むやみやたらに自分の事を話さないのが上手く生きるコツだ」
薫は拓海の涙を指で拭う。
「アイツらにどんな弱み見せた?」
「おれ………、嫌なのに……断れなくて、なおが居るのに、今日は、知らなくて、いつもみたいに社長に抱かれるだけだと思ってた」
ようやく声にだせた言葉は吐いてはいけない弱さだった。
「いつからだ?」
「……家出してて、行く所なくて……そんな時にモデルにスカウトされて」
「なるほど。食われてんのお前だけか?」
「わかんないっ……」
「事務所戻ればやられるな。これ以上、やられたくなかったら事務所辞めるんだな」
「………でも、売り出して貰ったお金がたくさんかかって」
「じゃあ、一生犯されまくれ。自分の身体が汚く思えるくらいに抱かれたらいい………恩なんぞ感じる必要なんてねえ!金の見返りは身体と心だろ?釣りがくるくらい高いよ。だろ?」
薫にそう言われ、拓海は頷き泣き出した。
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