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存在 10話
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「タケルおかえり」
リビングへ入った途端にyoshiが抱き付いてきた。
「こら、寝てろって言っただろ!」
抱き付いて来るyoshiを怒りつつも顔はにやけている。
「ただいまは?」
顔を上げて豊川の顔を見つめて微笑むyoshi。
可愛いすぎだろ!なんて思いながら「ただいま嘉樹」と頭を撫でた。
撫でられたyoshiは相変わらず気持ち良さそうな顔。
凄く可愛い。
豊川は朝からお預けを食らっていたので今すぐにでも彼を食べたい勢いだったが、 ふと……冷静になり、マコトの存在に気付いた。
めちゃめちゃイチャイチャしていたよな?
視線を背中に感じまくっている豊川。 明らかに恋人同士だと今の行為からモロバレ。
「あー…マコト」
照れ隠しで咳払いをしてしまう。
「タケル、マコちゃんは知ってるよ。俺とタケルの事」
豊川の動揺に気付きyoshiはニコッと笑った。
「知って、えっ?どうして?」
すでに知られている事にも動揺。
「俺が言っちゃったんだ。嫌だった?」
慌てたような豊川に隠しておきたかったのかと、yoshiは不安そうな表情を見せる。
「そうじゃないよ。ただ……」
自分のデレデレっぷりを見られた恥ずかしさで穴があったら入りたいのだ。
「ただ?何?」
顔を覗き込むyoshiの仕草が可愛くてたまらない。
やばい!マコト居なかったら押し倒したい!くそう!なんて考えた。
「yoshi君、たけちゃんは普段はクールだから、yoshi君にデレデレな姿を僕に見られたから恥ずかしいんだよ」
クスクス笑うマコト。そして図星をつかれ耳まで真っ赤な豊川。
「タケル可愛い」
確かにこんな風にうろたえた姿を見た事がない。
大人だと思っていた豊川が真っ赤になって照れている姿はかなり貴重で可愛い。
「夕飯は温めるだけにしてるからさ、後は2人で仲良く食べて」
マコトはそう言うと気を利かせたように帰り支度をする。
「マコちゃん食べていけば良いのに」
「ありがとう。でも、2人の邪魔したくないから」
yoshiの誘いを断り、マコトは帰って行った。
キッチンにはマコトが作った料理があり、温め直すだけにしてあった。
「夕飯食べてないのか?」
誰かが食べた様子はないし、マコトが2人で仲良く食べてと言っていたのでyoshiは食べなかったのかと心配した。
「うん。タケルと食べたくて」
待っていてくれたのだと、嬉しく思うが体調と精神的にあまり良くない彼。
「ありがとう嘉樹。でも、無理はするな身体が心配だから」
yoshiを抱き寄せて思いを言葉にする。
「身体はもう元気だよ。熱は昼には下がったし、タケルとエッチしたくてたまんなかった」
yoshiはニヤリと笑う。刺激的な言葉に豊川は咳き込む。
「タケルってさ、やっぱ可愛い」
咳き込む豊川の様子は本当に新鮮で可愛い。
「オッサンをからかうな!先にシャワー浴びてくる」
このまま、ココに居ると益々、ボロが出そうで豊川は風呂場へと逃げる。
服を脱いでいると、 「俺も入る」とyoshiが来た。
「熱下がったばかりだろ?」
「下がったから入るの!それに汗いっぱいかいたから気持ち悪いし」
yoshiはそう言って服を脱ぎ出す。
豊川は心配しつつも、一緒に入りたいのが本音。
「じゃあ湯冷めしないようにしないとな」
なんて結局は甘やかす。
風呂場は温度調節が出来るので豊川はyoshiが寒くないようにと調節する。
マコトが豊川の為にすでに浴槽にお湯を溜めてくれていたので仲良く2人で湯船に浸かった。
もちろんyoshiは豊川に抱っこされている。
「タケルんちのお風呂は広いから好き」
半身浴が出来るように大きめの浴槽は男2人入っても余裕があるのだ。
「嘉樹を抱っこ出来るしな」
豊川の言葉にyoshiは嬉しそうに微笑む。
「今日は何してた?マコトのいう事ちゃんと聞いてたか?」
まるで子供を心配するような言葉。
つい、yoshiにはそんな風になってしまうくらいに可愛くて溺愛してしまう。
「子供じゃないんだよ!」
yoshiは膨れっ面。
そこが子供だよ。なんて言いたかったが豊川は笑って誤魔化す。
「子供じゃない事…教えてあげる」
yoshiはそう言うと豊川の唇に自分の唇を重ねた。
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