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存在 15話

どうしたら良い? 相手は大人の男性で正直………困った。 豊川が自分を抱くような感じで良いんじゃないかと、抱かれている時を思い出してみる。 うっ………、出来ないかもしんない。 想像するだけで耳まで熱く感じる。 熱いキスや、優しい愛撫。 抱くよりも抱かれたい、今更思ってしまった。 だって、下手くそだったら呆れられるかも知れないし、返って疲れさせるかも知れない。 朝には仕事なのに、ワガママ言ってしまった自分が何だかバカなんじゃないかと後悔。 ベッドの側の時計は1時過ぎている。 どうしよう。タケル……。 ******* 全く、あの子は何を言い出すのやら。豊川はシャワーを浴びながら笑いをこらえている。 可愛い。 なんて思ってしまう自分がどれだけ溺愛しているか分かる。 でも、想像出来ない。  自分がyoshiに抱かれる事が。 後ろを使ったのは随分と昔。 薫が最後。 後は抱く側に回ったのでまさか息子ほど歳が離れた子に誘われるとは…そう思いながら簡単にyoshiに抱かれる用意をする。 さっきyoshiと入っていたままの浴槽のお湯はまだ温かく、中に入ろうかと考えていると、人の気配を感じて、ゆっくりと浴室のドアを開けると、yoshiが居た。 そんなに待てないのかと、可愛い恋人に笑いが込み上がってくる。 ドアが開いたのでもちろんyoshiも豊川に気付かれた事に照れたように俯く。 「そんなに待てなかった?」 yoshiの側まで行く。 「…そうじゃないけど」 俯いたままのyoshiに触れると少し身体が冷えているように感じて、 「また、一緒に入るか?」 と引き寄せる。 服を脱がせて湯船に入るまでyoshiが大人しくて、緊張しているのが見てとれた。 「さっきまでの勢いはどうした?」 湯船の中、膝に抱き抱えて聞いてみると、yoshiは体勢を変えて豊川と向き合って座り直した。 「色々、考えちゃって…俺、その………あんま、経験ないっていうか…あのね」 恥ずかしそうな表情、それさえも可愛くて今すぐ食べたくなる。 目を伏せている彼は湯船の湯気のせいか、照れているのか紅潮している。 「それで?」 その顔をずっと見ていたくて、困らせるような質問をしてみた。  経験が少ない。それは嬉しい事だ。 余計な嫉妬をしなくて済む。 「た、タケルを満足出来るかな?とか考えちゃって、だってタケルは経験豊富だし、そう考えてたら段々と自信無くしちゃって……こんな事ならもっと経験を積めば良かったなって」 「バカ…経験とか関係ないよ。嘉樹が欲しがってくれるだけで嬉しいし、それに……余計な嫉妬しなくて済むだろ?」 豊川はyoshiの頬に手をあてた。 「余計な嫉妬?」 「そう。嘉樹が誰かに抱かれるとか想像しただけで嫉妬に狂いそうになる」 「本当?……俺もね、タケルが上手い分、誰かと経験を重ねたんだって想像してしまったら嫉妬した。過去の相手に嫉妬しても仕方ないのに」 yoshiは色々考えていたら不安になり風呂場まで来てしまっていたのだ。 豊川も自分と同じように嫉妬してくれていたなんて嬉しく思う。 「ありがとう嘉樹。なんか嬉しい」 嫉妬した事を話すと、嬉しそうな顔で自分を見ている豊川。 こんな自分に……子供で、たまに豊川には自分は合わないんじゃないかとか考えたりもした。 「タケルは…本当にいいの?」 見つめたままにyoshiは言葉にする。  「いいって言っただろ?そんなに不安か?なんなら私がリードしても良いし」 「……そうじゃない。俺が恋人で良いのかなってさ…やっぱり考えてちゃう」 目を伏せた彼の顔が不安げで、迷子の子猫みたいで豊川は彼の頭を引き寄せた。 こんなに不安そうな表情を見せるのは自分がそうさせているから。 「嘉樹、私だって君が思うほどの大人な男じゃない。ごめんな、嘉樹が不安になるのは私がちゃんとしていないからだよな」 強く抱きしめてyoshiの不安を取り除けたら良いと思う。 「違う、俺が勝手に不安になっているだけ」 yoshiは身体を起こして豊川をまた見つめる。 そんなyoshiを豊川の手は優しく彼の頬に触れた。 「ずっとこのまま私と暮らさないか?」 「えっ?」 yoshiは目を見開き豊川を見つめる。

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