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存在 16話
「なおに……嘉樹をくれって言ったんだ。頭を下げて」
「タケル……」
yoshiの大きな瞳は見る見るうちに涙が溢れている。
「ずっと側に居て欲しい。私には嘉樹が必要で、嘉樹も私を必要としてくれてるなら嬉しい。」
自分が必要だと、 側に居て欲しいと、真っ直ぐに見つめながら言ってくれる。
こんなに幸せな事はない。
一緒に暮らそうと言われた瞬間から霞んできた視界はもう見えなくて、豊川の大きな優しい手が流れる涙を拭ってくれていた。
こくん、こくんと頷くだけで精一杯なyoshiが可愛くて豊川は顔を傾けて口づけを交わす。
「頷くって事はずっと一緒に住んでくれるって事かな?」
唇を離してyoshiを見つめる。
「うん、……うん、ずっといいの?」
大粒の涙に震える声。
「ずっと一緒に居たい」
「俺でいいの?タケルならもっと……」
もっと大人で相応しい相手が…そこまで言わせないように豊川に唇をまた塞がれた。
さっきみたいな触れるだけの口づけではなくて、口内へ挿ってきた舌が激しく絡んでくる。
豊川の腕はyoshiをキツく抱き込み、それに応えるようにyoshiも腕を豊川の首筋に抱き付く。
互いの荒い息づかいを聞きながらキスを繰り返す。
まだ足りない。
そんな感じのキス。
豊川は唇を離すと「くさい台詞言って良いか?」とyoshiを見つめた。
「うん」
「私がナオの代わりに嘉樹を守る。辛い時も悲しい時も必ず側に居る。だから、何も我慢しなくて良い。辛い時は辛いと言葉にしてくれ。寂しいなら寂しいと…我慢しないで。あと、病気で辛い時ももちろん我慢するなよ?隠したりしないで欲しい……嘉樹が今、不安な事や苦しい事をちゃんと私に言って欲しい…」
yoshiは豊川の言葉に頷きながら、小さく返事をする。
「俺なんか……とか言わないで欲しい。私が愛している君はどんな人よりも綺麗で優しくてたまらなく可愛いんだから」
豊川はyoshiの頭を優しく撫でた。
「俺は……タケルとずっと一緒に居たい。側にいさせて」
優しく撫でられた手が凄く安心出来て、また涙が零れる。
「もちろん。嘉樹がイヤだと言っても」
冗談混じりに返事を返す。
「明日…荷物取りに行く」
「明日?明日はまだ寝てろ」
「やだ!タケルの気が変わらない内に全部荷物を運びたい」
真剣な顔で言い切るyoshiに豊川は笑ってしまう。
「分かった。明日、ナオに電話しなさい」
「うん」
yoshiは嬉しそうに頷く。
「じゃあ、上がろうか」
豊川はyoshiと一緒に湯船から出た。
*******
2人はバスローブのみで寝室へと戻った。
時間が惜しいくらいに愛し合いたいと思うのは同じでキスをしながらベッドへ倒れ込む。
もちろんyoshiが下。
風呂へ入る前は豊川を抱くんだと意気込んでたyoshiはすっかりとその事を忘れて豊川の愛撫に甘い声を出している。
バスローブを脱がされ、身体中にキスを落とされた。
yoshiは豊川のを受け入れるように自ら足を広げるが、上に居る豊川はゴソゴソと何かをしている。
「嘉樹の初めてを奪うのは私の特権だな」
yoshiを見下ろして微笑む豊川にキョトンとなる。
「女の子との経験は少ない?」
「えっ?いきなり、何?」
顔が赤くなってしまう。
「……うん、あの、ナオにはその……経験したとか言ったけど、ちゃんとしたことなくて……えっと、その、ない」
何?この羞恥プレイは?
恥ずかしくて死ねる!
「何言わせるんだよタケルは!」
自ら告白はしたものの、言った後に後悔。
耳まで熱い。変な経験は沢山あるyoshi。
フェラとか……。
ふと、アメリカに住んでいた頃、付き合っていた彼女のお兄さんにフェラされた事を思い出した。
付き合って欲しいと言われて困った事。
声がナオに似ていたから…心が揺れた。
そんな記憶。
「じゃあ、嘉樹の初めてをまた私が貰ってもいいか?」
豊川はそう言ってyoshiの上に跨る。
「タケル?」
騎乗位な体勢の豊川にyoshiは不思議そうな顔で見上げた。
愛撫で大きくなったyoshiの陰茎を手のひらに包み込むように持つ豊川は自分の後ろへとあてがった。
「タケル……」
ここまでされたら何をされるのか分かったyoshiは驚いた顔で豊川を見上げた。
「嘉樹に抱かれるのもいいけど、嘉樹の全部を今、欲しい」
「挿れていいの?」
「いいよ。嘉樹なら…」
豊川はそのまま、ゆっくりと腰を下ろしていく。
「んっ…」
久しぶりの感触だった。
yoshiよりも年下な頃に薫に散々抱かれたっきり。
「タケル……あっ」
熱くて、キツい豊川の中は気持ち良くて、声が漏れる。
ゆっくりと包み込まれる感触。
根元まで全て挿ると豊川は腰を前後に動かしていく。
「あっ、あっ、めっちゃ……きもちいいっ」
腰が動く度に押し寄せてくる快楽。
中に挿れる行為がこんなに気持ち良かったのかとyoshiは声を我慢出来ず、いつもより声が出る。
「嘉樹……私もだ……っ」
見上げる豊川は荒々しく息を吐きyoshiの上で淫らに動いている。
体位はいつもと同じだけど、今日は豊川の中にyoshiのが挿っている…それだけでyoshiはイキそうだ。
「タケル、気持ちいい?」
「気持ち……いいよ。」
豊川の動きが徐々に早くなり、ベッドもそれに合わせギシギシと音を出す。
久しぶりに男のモノをくわえた感触は痛いというよりは気持ちが良い。
自分で動く度にyoshiのモノが快楽のスイッチを押してくる。
本当に気持ちがいい… 身体をくねらせて前後の動きから上下の動きへと変える。
背中がゾクゾクと震えて、もっと刺激が欲しくて激しく動く。
『もっと動けよタケル…』
薫から言われながらに身体を動かしていたあの頃。
年端もいかない子供のクセにセックスを毎日やりまくっていた。
薫は高校から1人暮らしだったから学校の帰りに寄り道をしては抱かれた。
「や、たけるっ、そんな動かないで!」
徐々に早くなる動きにyoshiが声をあげる。
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