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記憶
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ギシギシとベッドが激しく軋み、後ろから勢い良く突かれ声が出る。
「いい声だなタケル」
まだ若い薫の声。
「ふっ……うっ……あっ、」
腰を掴まれ前後に身体を揺すられる度に部屋中に肌がぶつかり合う音が響く。
「かおる……っ、」
いつも激しく抱いてくる薫の名前を呼ぶ。
「もうイキそうなんだろ?」
「んっ」
「お前が俺の名前呼ぶ時はイキそうな時だからな…んじゃ、いけよ」
薫から奧まで激しく突かれ、イッてしまった。
「俺もイクから仰向けになれよ」
薫に仰向けにされて、彼を見上げた。鋭い目つきで自分を見つめる薫。
薫とはそんなに長く付き合ったわけではない。
高校を卒業する前に別れた。
そして、芸能界に入って間もなく再会をした。
その時にまた激しく抱かれた。
それっきりだ。男に抱かれたのは薫が最後。
「タケル…いけよ」
口の端だけで笑う薫に何度もイカされた。
夢なのか分からない、 薄明かりの中、豊川は目を開けた。
すぐに視界に入ってきたのはyoshiの寝顔。
ホッとした。久しぶりに男のを後ろに挿れたからか?
昔の記憶が夢に出てしまった。
yoshiの寝顔を見つめる。幼さがまだ残る寝顔に指先で触れた。
「んっ……けるっ……」
まだ夢を見ているのか起きているのかyoshiは豊川の名前を呼ぶ。
「嘉樹?」
名前を呼んで頬を撫でるが寝息だけで反応はない。
寝言か?
豊川は少し身体を起こして時間を確認する。
5時。
まだ少し眠れるが、yoshiが射精したままの後ろを思い出して風呂へ入ろうと起き上がった。
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浴槽を簡単に洗い、お湯を溜める。
自分が入る為じゃなくてyoshiを後で入浴させようと思ってだ。本当に自分はあの子を甘やかしていると自覚。
子供時代に辛かった分、甘やかそうと思ったりしている。
yoshiは光一を嫌ってはいなかった。
自分が光一に嫌われていると思っていた。
光一もそうだ。きっとyoshiに憎まれていると思っている。
少しのすれ違い。
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寝室に戻るとyoshiはまだ熟睡中。
横向きで眠る彼は腰近くまでシーツがはだけて妙に色っぽい。眠ってるくせに誘っているように見える。
豊川はベッドの端に座りyoshiの髪を撫でた。
髪を撫でながらそのままキスを落としていく。首筋に唇をはわして吸いつくと、薄く口を開き声を漏らす。
甘い声をあげるクセに目を覚まさないyoshiの身体を仰向けにして、額から順にキスをする。
体勢を変えた豊川の足が何か軽い物を蹴った。
何だろうと視線を下へ落とすとカーペットの上に転がる銀色の指輪。
yoshiが何時も大事そうに身につけている指輪。
鎖が外れてyoshiの側に落ちていて、そちらも手に取る。
指輪を鎖に通して彼の首に付けた。
お揃いの指輪もいいなあ。なんて銀色の指輪を見つめて思う。
義父から貰ったんだっけ?
でも、写真でしか見た事がない義父には似合わないようなデザイン。
もしかしたら、yoshiが年頃になった時を思いながらプレゼントしたのかな?なんて考えた。
優しい笑顔は今のナオに良く似ていて、義父が大好きなyoshiはどんな気持ちで直を見ているのだろう?なんて心配をした。
「ん……たける?」
目を覚ましたyoshiがぼんやりと豊川を見つめている。
「ごめん、起こして」
散々キスして愛撫しまくったのだから起きない方がおかしい。
「だっこぉ……」
まだ眠い顔で豊川に両手を伸ばす。
「はいはい、だっこ」
豊川はyoshiを抱え上げて力強く抱きしめる。
「たける……おはよう」
耳元で囁かれる挨拶。 頭を撫でてやりながらyoshiがちゃんと目を覚ますまで付き合う。
毎朝の恒例で、yoshiは少々寝起きが悪い。
「まだ寝てるか?それとも風呂入るか?」
「えっちしたい」
どちらでもない返事。
「エロい寝ぼけ方だな。」
「寝ぼけてないもん…」
yoshiはそう言うと豊川と向き合い、そのまま唇をくっつけてきた。
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