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記憶 20話

****** 電話の相手は薫だった。昨日、キャンセルした仕事相手。 「子猫ちゃんとのセックスは楽しかったか?丸一日やりまくったんだろ?」 どんな顔をしてそんな台詞言っているのか想像がつく。 「悪かったなキャンセルして」 「キャンセル料は高いぞ」 「分かっている。」 「今夜話しがある。子猫ちゃんも一緒に連れて来いよ」 「断る。まだ体調が良くないから」 「立てないくらいに激しく抱いたのか?」 「そんなとこだ」 そう返すと薫は笑った。 時間を約束して電話を切る。 「タケル…昨日、仕事キャンセルしたから何か言われたの?」 不安そうな顔で側に来るyoshi。 「違うよ。それよりも、向こうで待ってても良かったのに。光一も来てるし」 不安にさせないようにyoshiに微笑みかけて、頭を撫でる。 「何かさ、光一…目を合わせようとしないんだよ。やっぱ、俺が何かしたのかな?」 yoshiは光一が来ている事に気づき、マコトと社長室を出たが、 光一は自分を見ない所か、目さえ合わせようとしない。 「光一の悪い癖なんだよ。意識している相手とは恥ずかしくて目も合わせられないし、話せない」 「えっ?子供?」 「そんな感じだな…ほら、行くぞ」 手を掴み、社長室を出ようとするが「俺、ここにいる」と足を踏ん張るyoshi。  「どうして?」 「どうしても!」 yoshiは手を振り払い、自分用に設けてある席に座る。 全く、素直になれないのは光一の血かな?  なんて、思う。  「分かった。じゃあ仕事してなさい」 yoshiを残して部屋を出る。 ****** 「光一さんとアキって仲良しですね」 ニコッと笑う拓海。  「えっ、そ、そうですか?」 アイドルスターを前にアキは気持ち悪いくらいに照れている。 「アキ、気色悪い」 光一に冷たくされてもアキはニヤニヤして気持ち悪い。 「マネージャーは他の人を頼むように社長に言いますよ」 「えっ?俺は別に構いません」 「でも仲良しだし」 「た、拓海くんのマネージャーとか自慢だし」 その言葉でアキは光一からゲンコツを食らう。 「俺だと自慢にならんのか、あっ?」 迫力で迫る光一。 「あー、もう光一うるさい」 社長室から出て来た豊川に首根っこをぎゅっと掴まれ、アキから引き離される。  「拓海のマネージャーはアキでいくから」 「まじすか!」 嬉しそうなアキにむっとする光一。 「でも光一さんのマネージャーが」 心配そうに豊川を見る拓海を安心させるように微笑むと、 「光一はワガママで、マネージャーが続かないんだよ。それに大人だから1人でも大丈夫だよ」 そう言った。 「なんだよソレは…まあ、いいけどさ」 光一はそれ以上だだをこねる訳でもなく引き下がった。 ***** 「悪いな光一」 拓海が居ない場所で光一に謝る豊川。 「何が?」 「新しいマネージャーつけるから」 「要らねえ」 「本当に?」 「1人が楽だしさ」 そう言うと光一は笑って見せる。  でも、 何だか元気がない。 「お前ら本当、親子だな」 クスクス笑う豊川。 「えっ?」 キョトンとする光一。  元気がない姿がyoshiと被る。互いに、互いが原因。 素直じゃない所は似ている。 ***** ちぇ、 無視しやがって光一の野郎!  yoshiはパソコンのキーボードを叩きながらため息をつく。 弁当のお礼を言おうと思っていたのに、目を合わせたら直ぐにそらされた。 後はずっと視線を合わせてくれなかった光一。 何だよアイツ! もう、せっかく……弁当のお礼作ったのにさ。  yoshiは早起きをして弁当を作った。  自分と豊川とマコトの分と光一の分。 全部食べてしまおうかと思ったが、 目を合わせないのは自分のせいかな?なんてマイナスの事を考えると暗くなってくる。  あー、もう!  yoshiは頭を振って気分転換しようとパソコンで動画サイトを開く。  猫とかの動画みようかと思ったがつい、 TAKERUと打ち込んだ。  動画がたくさんヒットした。 若い頃の豊川を見たいと良さそうな動画をクリックする。

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