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君の歌 2話
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あ~、もう!またやってしまった。
yoshiは洗面台で顔を洗う。
やっぱ、腫れてるの分かるよな。
鏡で自分の顔を見ながら落ち込む。
光一は悪くないのに、気にしている事を言われ、つい……無言で部屋を出た。
すげえイヤな奴っぽい!
それに、いきなり話し掛けてきたからとっさに言葉が出て来なかった。
無視した事になるよね?
あ~、また、傷つけたかな?
「嘉樹」
豊川の声に振り向く。
「大丈夫か?」
心配そうな顔。
豊川のその顔がyoshiは好きだった。
自分の事を考えている証だから。
豊川はポケットからハンカチを出すとyoshiの顔を拭く。
「ふふ、何か小さい子供みたい」
拭いてもらいながら、yoshiは笑う。
「本当、手のかかる可愛い子だよ」
クスクス笑う豊川。
「光一、何か言ってた?」
「嘉樹の心配してたよ」
「何で?」
傷つけたかと思っていたのに、心配されていたとはyoshiはちょっと驚く。
「嘉樹が元気ないからかな?」
豊川は拭き終わるとyoshiの頭を撫でた。
「光一の事気にしてるのなら、戻って元気だよ、って言ってやれば良いよ」
「でも」
yoshiは腫れた目を指摘されるのがイヤだった。泣いた事を知られたくないって何故か思う。
豊川は台に置かれた伊達眼鏡をyoshiにかけると「嘉樹は眼鏡も似合うなあ。ちょっと前に眼鏡男子もてはやされてたろ?その理由、嘉樹見たら納得」そう言って微笑む。
「どういう事?」
「エロいって事。オフィスでスーツ着せて眼鏡かけさせて、オフィスプレイしてみたいかも。秘書と社長」
その言葉にyoshiは笑いだし「タケルが萌えてくれんなら、やってあげる」と抱きついた。
「えへへ、エロい事言うタケルも好き」
「そうか?」
豊川も抱きしめる。
「そうやって俺を笑わそうってしてくれるタケルも好き」
yoshiは顔を上げて微笑んだ。
◆◆◆◆
どんな言葉をかけて、どんな行動を取れば良いか、正直分からない。
年を重ねた分、経験豊富なはずなのに、 きっと、無意識に避けてきた証拠。
光一はため息をつく。
「ほら、コウちゃんがそんな顔してたらyoshi君は余計に不安になっちゃうでしょ?」
マコトの言う通りだ。
心配させてしまう。
yoshiが豊川と戻って来た。
「嘉樹、昼飯どうする?」
光一は色んな言葉の中で、つい、脳天気な言葉を選んでしまい。後悔。
まるで心配していなかったみたいだな?
ああ、もう!俺のバカ!
なんて心の中で自分を罵倒。
yoshiをチラリと見て、反応を気にする。彼は光一をチラリと見たが無言。
どうしよう……次の言葉を!
ほら、もっと気の利く言葉を!
目を泳がせて、焦る光一の目の前に紙袋が突き出された。
はい?
きょとんとなる光一に紙袋を突き出したのはyoshi。
「弁当、ありがとう」
えっ?弁当?
反射的に紙袋を受け取る。
「中身、入ってるから食えば?」
yoshiはそれだけ言うと自分のデスクへ戻った。
中身…確かに重い。
中を覗くと昨日、どこに置いたか分からなくなっていた容器。
マコト?
チラリとマコトを見るとニコッと微笑まれた。
マコト……
気を利かせて、yoshiに弁当を渡したのだと嬉しくなる。
ありがとう。心からそう思った。
もちろんyoshiにも礼を言わなくてはと「嘉樹、ありがとう」と彼に視線を向けた。
「どういたしまして。……残すなよ」
yoshiはパソコンから目を離さずにそう言ったが、何だか照れくさそうに見えた。
「おう」
光一は笑顔で、返事をすると、食べる為にテーブルがある事務所へ戻る。
やばい!ニヤニヤが止まらない。
そっかあ、 食べてくれたのか。
物凄く嬉しい!
凄く凄く嬉しい!
yoshiが作ってくれた弁当は、 やはり玉子焼きの量が多くて、 この前、作って貰った時よりも凄く嬉しくて泣けてくる。
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