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君の歌 3話
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「良く出来ました」
豊川に褒められたyoshiは照れくさそうに笑うと自分のデスクで弁当を食べ始める。
光一が嬉しそうな顔を見れて良かったとyoshiは思った。
元気が無かった光一が気になっていて、 もし、自分が傷つけてしまっていたら、 そんな事を考えていたら気になって仕方なかった。
でも、良かった。笑ってくれて。
だだ、それだけなのに凄く嬉しかった。
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「ナオを呼ぼうか?ああ、それよりもキャンセル」
「タケル、いいから心配しないでよ」
夕方、仕事にyoshiを連れて行けない為に豊川はマンションに彼を連れて来たが、心配で出掛けられないでいた。
置いて行けない理由は、昼間に泣いてしまったから。
情緒不安定なyoshiを1人に出来ない。
仕事といっても薫との仕事。
理由を話せばyoshiの側に居ろと言ってくれるかも知れない。
でも、 後が怖い。
yoshiに会いたがる薫に会わせるはめになるかも知れない。
「ほら、早く行かないと」
yoshiに送り出された。
気になりながらも車に乗り込む。
やはり誰かに……と思い携帯を取り出す。
ブッブーッ、 タイミング良く、着信で携帯が振動する。
着信は光一。
「もしもし」
電話に出る。
「豊川、yoshiは?どうしてる?」
心配そうな光一の声。
「心配なら……見に行っていいぞ?今から出掛けなきゃ行けないんだ」
「えっ?いいのか?」
何だか遠慮がちな光一に笑えた。いつもなら、俺が父親だぞっ!って言うのに。
「もちろん」
「分かった。すぐに行く」
光一は慌てて電話を切った。
父親との時間……取り戻せたら良いな。
豊川はそう思いながら車を走らせた。
******
「そんなに心配なら子猫ちゃん連れてくれば良かっただろ?」
夜景が見えるガラス張りのバーで薫にニヤニヤされながら言われる。
「お前の毒牙にかけたくない」
「人聞きの悪い事言うな、まあ、お前と子猫ちゃんを激しく抱くのも良いなって思うけどな」
「だから連れて来たくないんだよ」
豊川は露骨にため息を吐く。
ビジネスの話の合間、余りにも時間を豊川が気にするので薫にからかわれたのである。
「光一に頼んでるけど…………」
仲良くしてくれていれば良いけど。
「光一にはまだ言ってねえんだろ?息子に手を出して毎晩喘がせてるって」
「下品な言い方するな」
「事実だろ?子猫ちゃんに自分のチンポぶち込んでる」
「薫」
ニヤつく薫に豊川はキツく名前を呼ぶ。
「いつ言うんだよ?」
「それは……」
強気な豊川はその事に触れられると少々、迫力が無くなる。
「まあ、精神的な面もあんだろ?子猫ちゃん」
「………義父が死んだのは自分のせいだと思ってるし、光一の記憶も……」
「サバイバーズ・ギルトってやつか」
「サバイバーズ・ギルト…」
戦争や災害、事故、事件、虐待などに遭いながら、奇跡的に生還を遂げた人が、周りの人々が亡くなったのに自分が助かったことに対して、しばしば感じる罪悪感。(survivor)は「生き残り・生存者・遺族」を、「ギルト」(guilt)は「罪悪感」を意味する。
確かにそうかも知れない。
yoshiは罪悪感を持っている。
「でも、あれだ、実の父親に手を出している事を言わない理由にはならねえなあ」
薫の言葉にドキンとした。
「お前、光一に嫌われるのが怖いから黙ってんだろ?まあ、普通の父親なら嫌悪感は抱くな。」
言葉を返せない……。
「まあ、相談には乗ってやるよ。ベッドの上でな」
「結構だ」
即答する豊川に薫はニヤつく。
「子猫ちゃんに良いカウンセラー紹介してやろうか?」
「いい」
「ちゃんとした医者だ」
薫は財布から名刺を出して豊川に渡す。
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