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君の歌 4話

****** 豊川が出掛けた後、1人何をして過ごそうかとyoshiは考える。 テレビかな? 誰かの話す声が無性に聞きたい気がしてテレビをつけた。 「あ、」 拓海が画面に映り、思わず声が出た。 ブラウン管の中の拓海はやはりカッコイい。  リナと共演しているドラマで、もちろん彼女も映る。 考えてみると、この2人と知り合いな事に驚く。ましてや、拓海はナオの恋人。 なんか凄いなあ……。 なんて、感動している時にチャイムが鳴る。 豊川なわけはないが、ちょっと期待してインターフォンの画像を覗く。 …………光一かよ。  マコトかな?とも思っていたが、映像に映し出されているのは光一。  まあ、別にいっか。 と対応した。 操作してマンションの入り口を開け、後は光一が上がって来るのを待つだけ。 **** 良かった。  光一はもしかして、門前払いされるんじゃないかと心配していたのだ。 あっさりとロックを解除してくれた。 土産、こんなんで良いかな?なんて思いながら手荷物を見る。 「何だよコレは」 部屋に上げてくれたyoshiの一発目の言葉。 光一の手にはデパートの紙袋が沢山。 「土産」 「誰に?」 「yoshiに」 「………多すぎだろ」 yoshiはボソッと呟く。 テーブルに広げられた土産の数々はスイーツやら、スイーツやら……って甘いモノばかりだ。  しかし、何人分だよ?  「こんなに誰が食べるんだよ!」 「たから嘉樹」 「食べきれないから!あっ、智也に持って帰れよ。子供甘いの好きじゃん」 なんて、微妙に拒否された。 「甘い物嫌いだった?」 ちょっと心がしぼんだ。 「嫌いじゃないけど限度があるだろ。生物とかもあるし、あ、カットフルーツ食べよ」 yoshiは物色しながら透明の容器に入ったカットフルーツを手に取る。  そして 「ありがとう」とお礼を言う。  しかも、凄く可愛く微笑まれ、光一は照れてしまった。 どんな時でもyoshiはちゃんと礼を言う。 フルーツを食べてる姿を見ていたら、幼い彼が良くフルーツを食べていたのを思い出した。 美嘉も「この子ったら果物以外あまり食べてくれないのよ」と言っていたのも思い出す。 ケーキも苺やチェリーやら、その手を選んでいる。  そっかフルーツが好きなのか。  「何、見てんだよ。食べたいのか?」 視線を感じたyoshiはチラリと光一を見る。 「そんなにフルーツ好きなの知ってたらもっと買ってきたのにって思ってさ」 「ケーキとかよりは好きかな?あ、でもマンゴーは買ってくんなよ」 「何で?嫌いなのか?」 「アレルギーだから」 「えっ?アレルギー?マンゴーとかにアレルギーってあるのか?」 驚く光一。  「光一って何でも驚くのな」 yoshiはクスクスと笑う。しかも、可愛い。  「他にアレルギーあるのか?」 「あ~結構あるな。それに気管支も弱いからホコリとか排気ガスとか苦手なんだよなあ」 「えっ?じゃあ、都会は居づらくないか?」 「正直辛い、でも、慣れないとさダメだろ?」 そう話す彼のアレルギーも気管支系の病気もこうやって本人から聞いて初めて知る。 親なら知っておくべき事。 yoshiの事を何も知らない。  友達とか、向こうでの生活とか、恋人とか。 「嘉樹って…友達とかこっちに?」 「あ~、少しは居るかな?」 「そっか、嘉樹は学校は高校まで?」 「何だよいきなり、えっ?今更、事務所は大学卒じゃなきゃダメとか言うんじゃ」 「違う、いや、大学行かなかったのかな?ってさ」 「休学中」 「えっ?」 「発作でさ入院してずっと休んでたんだ。で、その頃にナオが日本に行くって決まって、ついてきた…休学中だけど退学しようかな?って」 「なんで?」 「日本離れないとダメたし、それに金かかるだろ」 「お金……って、み…いや、親がお金残してくれたんじゃないのか?」 美嘉はお金を残さなかったわけはないよな?  「お父さんのお金は使えない」 少ししょんぼりとした表情をする。

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