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キズナ 3話
ベッドで服を脱がされながらyoshiは豊川と沢山キスをする。
豊川の優しさを利用するようなセックス。
性欲を満たす為じゃない。
誰かに愛されているという欲を満たす為のセックス。
豊川から捨てられたら自分はもう生きていけない。
大人の彼を満たすものは若さと……セックス。 そんな考えが過ぎってしまう。
愛だけじゃ足りない。
全部を……豊川の全てを欲しい。
誰にも渡したくない。
こんなに愛されているくせに、どうしてもっと、なんて欲しがるのだろうか?
ただ、無くすのが怖い。
1人になるのが怖い。
1人にしないで!
行為が進む中、yoshiは独りよがりな思いを吐き出せずに飲み込む。
もっと自分のモノにしたい。
離れられないくらいに。
置いていけないくらい。
豊川が自分を深く愛してくれていると分かっていても、寂しい心がもっと、もっとって激しく求めるのだ。
豊川の熱くなった陰茎が自分の中へと押し込まれる。
「んっ、……あっ、たけるう……」
腰をくねらせて必死に受け入れる。
もっと、 もっと愛して!
腰が打ち付けられ、yoshiはよがり声を上げる。
「たける、もっときて………激しいのがいいっ」
豊川にしがみつき、目に見えない何かを必死に求める。
何度も身体を揺すられ、yoshiは豊川の腕の中で果てた。
******
朝、豊川はスーツを着ながらベッドでまだ眠るyoshiを見ていた。
激しくしてと言われたから激しく抱いてしまったものの、 グッタリとしているyoshiを見て反省。
凄く自分を欲しがるyoshiに気づいていた。
言葉で助けを求める事が苦手な彼。
代わりに身体が助けを求めていた。
yoshiの頭を撫でる。
「ちゃんと言葉に出来るようになるまで一緒に頑張ろう。大丈夫、私はずっと側に居る」
薫に教えて貰った医師の名刺をポケットから出す。
診療内科医。
肩書きにそう書かれている。
****
「タケル、どこ行くの?」
助手席なyoshiは何度も豊川に確認している。
目を覚ますと豊川に出掛けるからと、着替えまでも手伝ってくれた。
「たまには外で朝ご飯とかって思ってさ」
豊川は手を伸ばしてyoshiの頭を撫でた。
「仕事は?」
「11時からだから、少しはゆっくり出来るぞ」
「だったら部屋でイチャイチャしてた方が良いじゃんか」
「たまには嘉樹とデートしたいんだよ。嫌か?」
デート?
yoshiは豊川を見る。
「嫌なわけない」
確かに付き合っていてもデートとかあまり出来ない。
一緒に住んでるから不満はないのだけど、改めてデートとか言われたら照れる。
嫌なわけないと言われ豊川は微笑むと「良かった」と頭を撫でていた手をそのまま降ろし、yoshiの手を握った。
****
豊川が連れてきた場所はオープンカフェ。
「なんか良いねここ」
雰囲気を気に入ったのかyoshiは笑顔を見せてくれた。
適当にテーブルにつく。
「おはようございます」
メニューを持った男性が近づいてきた。
yoshiはその声に異常なまでに反応した。
男性を凝視した後に、凄く泣きそうな顔を一瞬見せて、視線を逸らす。
どうしたのかな?と豊川は思いながらも、
「おはようございます。オススメのメニューを2つ」
と男性に声を掛ける。
「かしこまりました。では、」
男性は頭を下げて、その場を離れた。
「嘉樹?」
俯くyoshiに声を掛ける。
「具合悪い?」
俯いたままのyoshi。
側に行き、顔が見える位置にしゃがむ。
「気分悪いなら帰るか?」
声を掛けるとyoshiは首を振り、
「大丈夫、ビックリしただけ」と答えた。
「ビックリした?何に?」
「声がお父さんに似てたから」
小さく呟くyoshi。
ああ、だから慌てて振り向いて、悲しそうな顔をしたのか。
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