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キズナ 7話

「そんな具体的な話が出てるのか?光一は何も」 子供がこんな事を言う衝撃と驚きが同時に来た。 「お父さんはまだ知らないよ。何もね……詳しくはマコちゃんに聞いて、じゃあ、戻るね」 拓也は仁田水の所へ行こうとする。  「待って」 拓也の腕を掴む豊川。  ****** タケルと知り合い?  少し離れた場所で話す2人を見ているyoshi。  凄くすごーく気になる! 「豊川タケル……相変わらずカッコイいね。若く見えるし、私と同世代には見えない」 仁田水は豊川を見ながら呟く。  その言葉にyoshiは嬉しそうに笑うと「たけ、……豊川さんやっぱり有名人なんだね。さっきも豊川さんに気付いた人が寄ってきたから、豊川さんだけ避難してた」そう返す。 ドライブ途中に寄り道をしたコーヒーショップで豊川のファンに遭遇してしまい、店内にはyoshiだけが入りコーヒーを注文していたのだ。  「私の世代には神様みたいな人かな?君は若いから良く知らないみたいだけど」 「この前、YouTubeで見ました。凄く格好良かったなあ」 「そっか、YouTubeか。……君は豊川さん所のタレントさんかな?事務所持ってるでしょ?彼」 「俺は豊川さんの秘書ですよ」 「えっ、もったいない!そんな綺麗な顔してるのに」 「興味ないから……おじさんって、彼のお父さん?」 yoshiは仁田水と拓也を交互に見る。  「そう見える?」 「そうじゃないの?雰囲気とか、目元とか似てるけど………」 そう返してyoshiはハッとする。  もしかして、自分たちと同じ年の差カップルとか!  そう考えてしまった。  「なれたらいいなって思ってるよ」 「へ?」 あれ?違うのかな?と思い直す。  「拓也くんの父親を知らないの?」 仁田水に聞かれ首を振るyoshi。  「そこまで仲良くないから」 「そっか、でも豊川さんの秘書ならいつかは分かるね。彼の父親は新崎光一だよ」 「えっ?」 yoshiは拓也に視線を向けた。  智也のお兄さん?  そういえば、智也に似てる。 「光一の……そっかあ、智也しか知らなかったから」 「えっ?呼び捨てしてるの?」 慣れた感じで名前を呼び捨てにするyoshiに少し驚く仁田水。 「本人が良いって言うから、やっぱり駄目なのかな?年上を呼び捨てするの」 真顔で聞くyoshi。  「いや、本人が良いって言うならいいんじゃないかな?」 「そっか、それなら良い、なんか心配しちゃった。俺って日本の礼儀あまり知らないから。」 「日本人じゃないのかい?」 仁田水はyoshiの顔を改めて見る。 外国の血が混じっていると言われてもおかしくはない。 綺麗な顔立ち。  「日本人だけど、アメリカから来てまだ半年くらいだから」 「そうなんだ。私も5年くらい前までニューヨークに住んでいたよ」 「本当?仕事の関係?」 「そんな所だよ……日本は暮らしやすいかい?」 「まだ良く分からないけど、来て良かったって思う」 「へえ~どうして?」 「運命な出会いがあったから」 yoshiはそう言って可愛く微笑んだ。  「なるほど、恋人かい?それは良い事だね」 yoshiの可愛い笑顔に釣られて仁田水も微笑む。 ***** 「もう、戻らなきゃ」 腕を掴まれた拓也は豊川の手を払う。  「話を聞きたい」 「今度にしてよ、人、待たせてるから」 拓也は豊川から逃げるように仁田水の側に来た。 「ごめんなさい。早く、出ましょう」 仁田水の上着を引っ張る。  「えっ?もう、良いのかい?」 「いいんです」 拓也はチラリとyoshiを見て「また、歌ってよ」と少し笑って言った。  「それは良いけど」 光一の子供だったの?と聞きたいのに何故か言葉が出なかった。  豊川が側に来る前に拓也は仁田水を急かして店を出た。 豊川は後を追おうかとも考えたがyoshiと一緒だ。 諦める事にした。  あとはマコトに聞こう!

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