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キズナ 19話
◆◆◆◆◆
「母、インフルエンザだから……しばらく帰れないわ。智也達に感染るとかわいそうだから」
心配して麻衣子に電話すると、そう言われた。
「そうか………わかったよ。お前は大丈夫なのか?」
「えっ?」
電話口の向こうから驚くような声。
「えっ?って、なんだよ?」
「………いや、心配されたの久しぶりだから」
その言葉に次に言う言葉が出て来ない。
確かにそうだ。好き勝手過ぎて、もう自己嫌悪ばかりだ。
「やだ、黙り込まないでよ。」
「……………、ごめん」
「もう!!そんな頼りなさそうな声出さないでよ、嫌味言ったみたいでしょ?」
「うん、ごめん」
いつもの調子が出ない。前はどうだっただろう?
yoshiに会う前の自分はなんて言うだろう?
思い付かない。
「ほんと、調子狂っちゃう。前の貴方なら電話とかしなかったかも知れないのに。最近、ほんと、どうしちゃったの?」
麻衣子に答えを言われたような感じだ。
ああ、そうだ。前の自分なら電話しなかったかも。俺って、そんな冷たい人間だったんだ。
いつからだろう?
…………この答えは直ぐに思い出す。
yoshiを捨てたあの日から。
ううん、その前から。
ほんと、馬鹿だ。
「ねえ………だから、黙り込まないでってば!!もう、ほんと、調子狂っちゃうわ。………智也達の面倒みれる?それとも、私が誰かに頼もうか?」
「いや!それはいい!!大丈夫だから」
面倒みれる?
そう聞かれても仕方ない。
面倒みていないに等しいのだから。
でも、他人に頼むのは嫌だ。
これ以上誰かに自分の子供を連れて行かれるのは嫌だ。
ワガママだけど、自分ではダメだろうけど、それでも、もう嫌だった。
yoshiと豊川を見る度に辛くなる。
あんな風に他人に頼られるのはもう嫌だ。
「わ、わかったわ。じゃあ、頼むから」
光一の必死な声にたじろいぐように麻衣子は少し話して電話を切った。
くそ!!
自分で自分を蹴りたくなる。
いまさら?
ううん、いまさらでもいい。
まだ、間に合うなら。
拓也と智也の父親でまだ居られるなら努力はしたい。
「なんて?」
電話が終わると直ぐに拓也が様子を伺いにきた。
「インフルエンザだから、しばらく帰れないって」
「そっか」
「拓也あのさ、」
「いいよ、どうせ明日から学校休みに入るから、智也の面倒は見れるし、なんだったらマコちゃんとか」
光一が何を言うかを予測したかのような拓也の言葉。
しっかりしているけれど、自分を拒絶したような言葉。
頼られていない。
そりゃそうだろう!今まで面倒を見ていなかったのだから期待なんて、していない。
「なあ、明日からロケなんだよ。お前らも来るか?」
「はっ?」
驚くように目を見開く拓也。
思わず口にしてしまった言葉に驚いたようだ。
「だって、仕事だろ?」
「仕事だよ?」
「マジで言ってんの?」
「マジだよ?イヤか?」
「だって、突然だろ?」
「そうだな。………イヤか?」
光一は再度聞き返す。
拓也は悩んだような顔をしていて、
「ぼく、いきたい!!」
拓也の心の奥底を覗いたかのような元気な智也の声に、拓也も自然に頷いていた。
◆◆◆◆◆◆
「36.5」
体温計の数字を読み上げる豊川をじっーーと見つめるyoshi。
「まあ、いいかな」
「やった!!」
豊川の言葉に笑顔になるyoshi。
光一のドラマロケに遅れる事2日、ようやくyoshiと豊川も合流する事になった。
豊川の仕事の都合もあったがなによりも、yoshiの体調が心配だったのだ。
「ナオも行ってるんだよね?」
「うん、ナオに聞いた?」
「拓海」
「拓海から?随分、仲良くなったんだな」
「まあね」
「そっか、友達出来たな」
豊川はyoshiの頭を撫でる。
「なんか、保護者っぽい」
「超過保護だけどな」
豊川はyoshiを抱き寄せる。
「ほんと、超過保護……」
yoshiは豊川の背中に両手を回すと、背伸びをして彼の唇にキスする。
チュッと軽いキス。
「タケルと初めての旅行ちょー楽しみなんだけど」
目をキラキラさせるyoshi。
「私もだよ」
豊川はギュッとyoshiを抱きしめる。
yoshiを自分が産まれた街へ連れて行くのは豊川自身も楽しみであり、そして、不安だった。
幸せだったけど、幸せかどうか分からない時間を過ごした場所。
そして、幼馴染みの光一と過ごした場所。
そこにyoshiを連れて行く。
複雑だ。
「なんか、こうギュッってされるとムラムラくる」
yoshiは豊川の胸に顔を埋める。
「えっ?」
「エッチ、我慢したんだから。タケルがダメだって言うからさ」
体調不良なyoshiに無理させない為にエッチ禁止をしていた豊川。
キスはしていたが、疲れさせてしまう行為はさせたくなかった。
「それは私だってそうだよ。yoshiを抱きたくて我慢したんだから」
豊川は髪にキスをする。
「だから今夜は手加減なし」
「まじ?」
yoshiは笑いながら顔を上げる。
「マジだよ。今だって凄くエロい事をyoshiにしたくてたまんない」
「たとえば?」
そう言われ豊川はyoshiに顔を近付けて唇にキスを落とす。
そして下唇を軽く吸う。
その後は舌を侵入させ、絡ませる。
くちゅり……
唾液が絡む音。
自分の中に侵入してきた豊川の舌に自分の舌を絡ませるyoshi。
豊川の手が背中を這い、衣服の中に。
yoshiも背中に回した手を豊川の衣服の中へと入れる。
そして、豊川はyoshiをそのまま押し倒し、キスを続けた。
何度もキスをしながらシャツをたくしあげる。
「んんっ、」
身体をまさぐられ、yoshiはピクんと反応し、豊川の背中へ回した手を彼の股間へと伸ばすがその手を掴まれた。
「だーめ、ここまで」
「はあ?その気にさせてお預け?なに?なんの意地悪?」
プクッと頬を膨らませるyoshi。
「これから移動とかで疲れちゃうだろ?」
「飛行機乗るじゃん!!別に歩くわけじゃないだろ?それに……」
「それに?」
「…………聞き返すなよ!分かってんだろ?」
yoshiは掴まれた手を自分の股間へと。
そのにはキスと愛撫ですっかり固くなったモノが。
「責任取れよ。このままじゃ、どこも行けないだろ?」
上目遣いで誘われる。
その気にはせたのは豊川。
「これでお預けしたら、嫌われるかな?」
ニヤニヤしながらyoshiの股間へ手を伸ばし少し力を入れてさする。
「あっ、ばか!!」
急にイジられ声をだす。
形をなぞるようにまさぐられる。
「直接触ってよ!なに?じらしてんの?」
いじられて息を荒く吐きながら文句を言う。
「可愛いから」
そう言って豊川はスルリとyoshiが履いているジーンズと下着をずらす。
ずらされても、焦らすように直接触ってくる様子がないので「ちゃんと触ってよ。もう我慢できないんだから!!」とyoshiは豊川の首筋へ両手を回した。
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